
タロット小アルカナのワンドのキングは、花開く杖を斜めに持ち、玉座に座りながら前のめりの姿勢を取る王の姿を描いた札です。玉座の背にはライオンの紋章、足元には火蜥蜴(サラマンダー)——ワンドのスート最高の権力者にして情熱家が、ここに描かれています。
ワンドのキングが象徴するのは「カリスマ性」と「ヒーロー気質」。情熱を生涯燃やし続ける、火のスートの完成者としての王です。
この記事では、占い業界歴19年のプロ占い師・五十六謀星もっちぃが、ワンドのキングの正位置・逆位置の意味を恋愛・仕事・金運の場面別に詳しく解説します。
ワンドのキングの基本情報

- アルカナ: 小アルカナ
- スート: ワンド(Wands / 棍棒・杖)
- 札種: キング(King / 王)
- 元素: 火(コート札としては伝統のKing=火の火/Crowleyでは Knight of Wands)
- 占星術対応: 獅子座の王の星(Christian “L’Étoile royale du Lion / Le Maître du Sceptre”)/蠍座21度〜射手座20度(Crowley Knight)
- キーワード: カリスマ性・ヒーロー気質・自由と刺激を求める・仕事人間
ワンドは火のスート。キングは「支配者」の位置にあり、情熱を完成形として体現する存在です。小アルカナ全体の構造は小アルカナの読み方も参考にしてください。
カードに描かれた図柄の意味
ウェイト版のワンドのキングには、花開く杖を掲げる王が描かれます。玉座の背にはライオンの紋章、王冠の下には「キャップ・オブ・メンテナンス」と呼ばれる布、足元には火蜥蜴(サラマンダー)。服のサラマンダー模様は尻尾を咥えて円環(ウロボロス)をなしており、完成された人物であることを示します。
ウェイトはこの札の占い上の意味を次のように記しています。
浅黒い男、友好的、田舎者、多くは既婚、誠実で良心的。常に誠実を意味し、予期せぬ遺産の近い到来の知らせかもしれない。逆位置:良いが厳格、厳粛だが寛容。
— A.E.ウェイト『タロット図解』(1910年)(筆者訳)
「前のめりの姿勢」と「キャップ・オブ・メンテナンス」
もっちぃ講座では、キングの前傾姿勢に注目します。ワンドを手で斜めに持ち、いつでも立ち上がれる前のめりな姿勢。座っていても休んでいるわけではなく、常に動き出す準備ができている王の姿です。
王冠の下に被るキャップ・オブ・メンテナンスは、権力者の権威と、部下を生活させる社会的責任の象徴。単なる個人的な情熱家ではなく、組織や共同体を養う責任を背負った支配者であることを表しています。
古典文献での占い義
- Mathers(1888年): 「田舎に住む男、郷紳、知識、教育。逆:生来良いが厳格な男、助言、忠告、熟慮」
- Papus(1889年): 「浅黒い男、友人。一般に既婚の男、一家の父」
- Thierens(1928年): 「知事、事業の主宰者、高官、郵便局長、法律顧問、経営者、独立商人、国務長官。教会では大祭司、ロッジでは最高導師」
- Crowley(伝統のKing): 「火の火。黒馬の紋章、炎の松明、跳ぶ黒馬。活動、寛大、獰猛、衝動、高慢、予測不能な俊敏」
正位置の意味
基本的な解釈
ワンドのキングの正位置は「カリスマ性」「ヒーロー気質」を意味します。情熱を完成形として持ち、周囲を率いる力を備えた人物の姿です。
このとき内面で起きているのは、ヒーロー気質、自由と刺激を求める心、新しい物好きな好奇心、そして仕事人間としての情熱。完成された存在でありながら、現状に甘んじず挑戦し続ける姿勢があります。
解決策は、リスクがあろうとも、自分が情熱を燃やし続けることができる物事を優先すること。安定よりも情熱、計算よりも直感——そうした火のスートの王らしい選択が道を開きます。
恋愛での解釈
恋愛においてワンドのキングの正位置は、夢中になって相手を思い、誠実な言葉をかける男性を示します。火のエレメントなので少し自分勝手な面はありますが、根本的には真剣で情熱的な愛です。
相手の気持ちに出た場合、相手はあなたのことを真剣に考えており、プロポーズや結婚を視野に入れている段階。ただし、仕事優先の傾向があるため、常にあなたを最優先にするタイプではないかもしれません。
片思いで出た場合、相手は成熟した情熱の持ち主。年上の既婚男性を示唆することもあるので、関係の進め方には慎重さが必要です。
仕事での解釈
仕事においては、自己主張が正しい時期を示します。社長やリーダーとして、自分のやるべき任務を達成する能力と権限を与えられている状況です。
起業家や事業主にとっては、自分のビジョンを貫くべき時期。周囲の反対や雑音に流されず、自分の情熱に従って意思決定することで、組織を正しい方向に導けます。
会社員の場合、リーダーシップを発揮する機会が訪れます。カリスマ性で周囲を巻き込み、情熱的に取り組むことで評価されます。
もっちぃ講座が示すアドバイスは、情熱的なものを大事にして、自信を持って取り組みましょう。これこそがワンドのキングのメッセージです。
金運での解釈
金運においては、経営者的な資産運用が吉と出ます。情熱を持てる事業や投資に集中し、「なぜこれに投資するのか」を自分の言葉で語れる資産に絞ることが成功の鍵です。
Mathersが言う「田舎の郷紳」のように、地元や身近な領域に根ざした財産形成が向いています。ネット上の流行りの投資より、自分が肌で理解できる領域への投資が確実です。
逆位置の意味
基本的な解釈
ワンドのキングの逆位置は「せっかち」な状態を意味します。情熱が独善に傾き、他者への配慮を欠いた支配的な振る舞いが目立つ段階です。
このとき内面で起きているのは、根性論、説教臭さ、白黒ハッキリつけたがる極端さ、そして自己満足です。もっちぃ講座では、逆位置の人物像を「実直な情熱家の自分を押し付けすぎる」「思い通りにならないと気が済まないモラハラ・DV的な態度」と表現します。
解決策は、何気ない言動が相手にとって重荷になっている恐れを自覚し、相手の価値観に寄り添う姿勢を取り戻すこと。自分の正義を一方的に押し付けるのではなく、相手の立場を理解する謙虚さが求められます。
恋愛での解釈
恋愛において逆位置が出た場合、独善的な愛し方で相手を追い詰める状況を示します。「これだけしてやっているのに」「君のために言っているんだ」という言葉の裏で、相手を自分の理想に合わせようとする支配欲があります。
最悪の場合、モラハラやDVに近い言動にまで至るパターンも。束縛、暴言、経済的支配——こうした「愛情の仮面をかぶった支配」がワンドのキングの逆位置の影です。
片思いや新しい関係で逆位置が出た場合、相手の熱量に押されて圧倒される状況。強引なアプローチに流されないよう、自分のペースを守ってください。
仕事での解釈
仕事においては、威圧的なリーダーシップが部下や同僚を疲弊させている状況を示します。「結果を出せばいいんだ」「俺の言う通りやれ」という強引な指示が、組織の創造性を削いでいます。
また、プライドが邪魔をして部下の意見を聞けない、過去の成功体験に固執して新しい手法を拒絶する——こうした「老害化した情熱家」のパターンもこのカードが警告します。
金運での解釈
金運においては、自分のやり方に固執した投資判断が損失を招く危険を示します。過去に成功した手法でも、市場環境が変われば通用しないことを認めない頑なさが、損失を膨らませます。
このカードが示す人物像
ワンドのキングが表す人物は、実直なリーダー、屈強な男、情熱家です。カリスマ性で周囲を引きつけ、信頼される支配者。情熱を行動で示すタイプで、口先ではなく結果で語ります。
起業家、中小企業の社長、地域のリーダー、家族を率いる家長——こうした「責任ある情熱家」がワンドのキングの典型です。完成された存在でありながら、常に次の挑戦を求める姿勢を保っています。
逆位置では、押しつけがましい情熱家を示します。自分の価値観を絶対視し、それに従わない相手を否定する。部下や家族への支配欲が強く、周囲を疲弊させるタイプです。
このカードが示す状況
ワンドのキングが示す状況は、「情熱的なリーダーシップを発揮する」時期です。
正位置の場合、あなたは今、自分のビジョンで周囲を率いる段階にいます。遠慮せず情熱を前面に出し、責任を持って決断する。そうしたリーダーシップが周囲から受け入れられる局面です。
逆位置では、情熱が独善に傾き、周囲との摩擦を生んでいる状況を示します。一度立ち止まり、自分のやり方が相手にどう映っているかを客観視する時期です。
筆者のLINE公式アカウントでは、占い師の世界や人気占い師になるための方法について、無料動画講座を配信しています。
LINE公式アカウントに登録する
リーディングのアドバイス
他のカードとの組み合わせ例
- ワンドのキング + 皇帝: 絶対的な権威と情熱の融合。強いリーダーシップ
- ワンドのキング + ペンタクルのキング: 事業の成功と財務の安定の両立
- ワンドのキング + 塔: 権力の暴走で破綻する危険。謙虚さの欠如
- ワンドのキング + 愚者: 情熱ある王が新たな冒険に出る。大きな転換
初心者がよくする誤読パターン
ワンドのキングの誤読で多いのは、「男性のカード」とだけ読んで、相談者が女性だと意味が変わると思ってしまうことです。このカードの本質は情熱的なリーダーシップであって、性別は象徴的な意味です。女性相談者にもそのまま適用できます。
また、正位置を「成功した人」とだけ読むのも浅い解釈。このカードの本質は、成功の結果ではなく、情熱を生涯燃やし続ける姿勢にあります。成果ではなく姿勢を読んでください。
たとえば「独立してうまくいきますか」という質問にワンドのキングの正位置が出た場合、「あなたのリーダーシップが発揮される時期。情熱に従って進んでよい」と背中を押します。逆位置なら、「情熱は素晴らしいが、周囲の声を聞く謙虚さを忘れないように」と釘を刺します。
実践的な読み方のコツ
ワンドのキングが出たときのポイントは、「責任と情熱の両立」を読むことです。
サラマンダーが尻尾を咥えて円環をなすように、このカードは完成性と循環性を同時に示します。情熱だけでもなく、責任だけでもない。両方を持ち続けることで、このキングは王として君臨できます。
相談者には、「自分の情熱と、それを支える責任の両方を大切にする」メッセージが効きます。どちらか一方に偏ると、このキングの力が失われます。逆位置の読み方ガイドも合わせて参考にしてください。
タロットを実際に引いてみる
Prophetess Tarotを使えば、ブラウザ上でタロットをすぐに引けます。登録不要・完全無料。いま抱えている問いを思い浮かべながら、ワンオラクル(1枚引き)で1枚引いてみてください。出たカードの解説記事から、今日のあなたへのメッセージを読み解けます。
占い師を目指す方へ。LINE公式アカウントでは、占い師になるための無料動画講座を配信しています。
LINE公式アカウントに登録する
参考文献
- A.E. Waite, *The Pictorial Key to the Tarot*, London: William Rider & Son, 1910
- S.L. MacGregor Mathers, *The Tarot*, London, 1888
- Papus (Gérard Encausse), *The Tarot of the Bohemians* (trans. A.P. Morton), 1892
- A.E. Thierens, *The General Book of the Tarot*, 1928
- Aleister Crowley, *The Book of Thoth*, London: Ordo Templi Orientis, 1944
著者紹介
五十六謀星もっちぃ / 占い業界歴19年。10代で占い師デビュー後、対面鑑定や電話占いで延べ5万人を鑑定。著書『1日2時間で月10万円 はじめよう電話占い師』(同文舘出版)、『五十六謀星もっちぃの占星術講義』(説話社・占い大学公式テキスト)。フジテレビ「ノンストップ!」等に出演。ananweb(マガジンハウス)で星占い記事「もっちぃ占ぃ」を担当。250人以上の占い師を育成。




