
タロット小アルカナのペンタクルのスートは、物質・お金・仕事・身体を司る「地」の象徴です。その4枚目のコートカード、ペンタクルのペイジは、掲げた両手の上のペンタクルを食い入るように見つめる若者の姿を描いた札です。
周囲の景色に一切目をやらず、手のひらの一点に集中する若き修業者。このカードは、年齢や職種を問わず「一つのことを学び始めた探求者」の姿勢そのものを象徴しています。
この記事では、占い業界歴19年のプロ占い師・五十六謀星もっちぃが、ペンタクルのペイジの正位置・逆位置の意味を恋愛・仕事・金運の場面別に詳しく解説します。
ペンタクルのペイジの基本情報

- アルカナ: 小アルカナ(コートカード)
- スート: ペンタクル(Pentacles / 硬貨・円盤)
- カード: Page(ペイジ/小姓)※Crowley系では「Princess of Disks」
- 元素: 地
- キーワード: 探求心・真面目・向学心・実直・修業者
ペンタクルは四大元素のうち「地」に対応するスートで、お金・仕事・物質的世界・身体性を象徴します。コートカードの中でペイジは最も若く受容的な役割を担い、Crowley系では「地の地(地の最も根源的な部分)」として位置づけられます。タロットカード全体の中での位置づけはタロットカードの意味一覧で確認できます。
カードに描かれた図柄の意味
ライダー・ウェイト版のペンタクルのペイジには、草原に立つ若者が、両手で高く掲げたペンタクルを食い入るように見つめる姿が描かれています。周囲には花が咲き、背景には耕された畑と遠くの山々。ペイジは周囲の美しい景色に目もくれず、手元の一点だけに意識を集中させています。
このカードをデザインしたA.E.ウェイトは、占い上の意味を次のように記しています。
若者が、掲げた両手の上に浮かぶペンタクルを食い入るように見つめる。彼はゆっくり歩き、周囲に気づかない。占的意味: 勤勉・勉学・学識・省察。別の読みでは知らせ・メッセージとそれを運ぶ者、規則・管理。
— A.E.ウェイト『タロット図解』(1910年)(筆者訳)
「insensible of that which is about him(周囲に気づかない)」という表現が印象的です。これは鈍感さを意味するのではなく、一つのことに意識を集中させている探求者の姿勢を表現しています。
掲げたペンタクルの意味
ペイジが掲げるペンタクルは、これから自分が取り組もうとしているテーマそのものです。仕事なら新しい技術、勉学なら新しい科目、人間関係なら新しい相手——ペイジにとって、それはまだ完全に理解しきっていない、興味と畏敬の対象として存在しています。
もっちぃ講座ではペイジを「実践者」と読みます。安定させるために、まだ何も地ならしされていない土地をロードローラーのように均していく姿勢を持つ存在。派手さはないけれど、地道な勤勉さで少しずつ前進する若者です。
同じスートの「数札のペンタクルの8」との違い
ペンタクルの8(職人)とペンタクルのペイジ(修業者)はよく似ていますが、違いがあります。ペンタクルの8は既に技術を持った職人が、さらに熟練のために繰り返す姿。一方、ペンタクルのペイジはこれから技術を身につけ始める初学者の姿です。掲げて見つめている時点では、まだ手を動かしていません。
この「見つめて学ぶ」段階があるからこそ、後の職人としての修練(ペンタクルの8)が可能になります。ペイジは学びの入り口のカードなのです。
Crowley系の「Princess of Disks」
Crowley版のThothデッキでは、このカードはPrincess of Disksとなり、絵柄も性格も大きく変わります。羊頭の兜を被り、地中にダイヤモンドの笏を降ろす、強く美しい女性として描かれます。Crowleyは彼女を「デメテル(豊穣の女神)の女司祭」「女性性の究極の投影」と呼び、受容と変容の瀬戸際にある存在として哲学化しました。
Waite版のペイジ(男の若者)とは性別も性格も異なるため、両デッキを混同しないよう注意が必要です。
古典文献での占い義
古典諸家もペンタクルのペイジには「勤勉・勉学」を共通して読んでいます。
- Waite(1910年): 「勤勉・勉学・学識・省察、知らせ・メッセージ、規則・管理」
- Mathers(1888年): 「倹約・秩序・規則・管理」
- Thierens(1928年): 「弟子・学生・使者、勤勉・学識・省察、栄誉ある委託」
- Papus(1889年): 「金髪の子供、使者、手紙」
どの文献も「学ぶ若者」「真面目な使者」というイメージを共有しています。
正位置の意味
基本的な解釈
ペンタクルのペイジの正位置は「探求心」「向学心」を意味します。新しいテーマに真摯に向き合い、一歩ずつ地道に学び続けている状態を表す札です。
このカードが出たときの気持ちは、真面目・マイペース・長い目で向き合う姿勢・もっと知りたいという意欲。焦らず、地に足をつけて、自分のペースで着実に成長しようとしている状態です。
解決策は、目標達成に向けての計画を明確にし、向学心を忘れないこと。今はまだ成果が出る段階ではありませんが、この時期に基礎をしっかり固めることで、後の大きな飛躍に繋がります。
恋愛での解釈
恋愛においてペンタクルのペイジの正位置は、もっと仲良くなろうと頑張ってくれている、実直で真面目な相手との恋を示します。派手なロマンティックさはないけれど、確実に関係を深めようと努力してくれるタイプの相手です。
相手が少し受け身で奥手に見えるかもしれませんが、それは無関心だからではなく、相手のペースを尊重しながら慎重に進めたいという誠実さの表れです。時間をかけて育つ関係として、非常に理想的な形です。
片思いの相談で出た場合は、相手があなたに興味を持ち始めていることを示します。ただし、相手は慎重派なので、急かすよりも一緒に学べる共通のテーマ(趣味、勉強、仕事)を通じて距離を縮めるのが得策です。
新しい出会いの相談では、学校・職場・習い事・セミナー会場など、学びの場で良い縁が生まれやすいカードです。お互いが何かを学ぼうとしている姿勢を共有できる相手との関係が、長く続きやすい性質を持っています。
仕事での解釈
仕事においては、今まさに頑張り時、スキルアップ、新しい技術を身につける時を示す札です。新入社員や若手が登場するカードと誤解されがちですが、重要なのは年齢ではありません。新しいことに挑戦し始めたすべての人に当てはまります。
40代、50代で新しい職種に転身した人、子育てが落ち着いて再就職した人、定年後に新しい学びを始めた人——いずれもペンタクルのペイジです。「年齢を問わず、新たに学び始める人」全般に適用できるのが、このカードの柔軟さです。
もっちぃ講座の比喩では、このペイジはロードローラーのようなものです。派手さはないが、確実に地ならしをしていく存在。新しい仕事で「まだ未熟だな」と感じる段階にいる人にとって、このカードは「今の地道な努力は必ず基盤になる」という励ましになります。
資格取得・専門学校・大学院進学・新規事業の立ち上げ初期など、何かを学びながら基盤を作る局面と相性が良いカードです。
金運での解釈
金運においては、コツコツ貯蓄する時期、投資の勉強を始める時期を示します。今すぐ大きく儲かるわけではありませんが、お金について学び始めることの価値が前面に出てきます。
小さな金額での積立投資、家計簿アプリの導入、FP相談、資産運用の書籍を読むなど、金融リテラシーを高める行動が特に吉です。いきなり大きな額を動かすのではなく、少額で試しながら仕組みを理解していく姿勢が、長期的な資産形成に繋がります。
Waiteが追加で与えた意味「news, messages(知らせ、メッセージ)」から、金銭に関する良いお知らせが届く可能性も示します。給与の見直し、ボーナスの連絡、小さな臨時収入など、穏やかな朗報が届く時期です。
逆位置の意味
基本的な解釈
ペンタクルのペイジの逆位置は「未熟」「時間の浪費」を意味します。正位置の「真摯な探求」が崩れ、目先の興味に流されて学びが定着しない状態です。
気持ちとしては、目先の興味・気分のムラ・目標が曖昧になる。何かに興味を持ってもすぐ別のものに目移りし、どれも中途半端に終わってしまうパターンです。
もっちぃ講座ではこの逆位置の状況を「下手の考え休むに似たり」と表現します。一生懸命考えているつもりでも、やり方が間違っていて、結果的には休んでいたのと変わらない——そんな空回りの状態です。また、上司や周囲の機嫌取りなど、努力の方向が本質からズレている状況も示します。
解決策は、自分が本当に求めているものが何なのかを見直すこと。興味の対象が次々変わるのは、根本的な目標設定ができていないサインかもしれません。
恋愛での解釈
恋愛において逆位置が出た場合、相手の関心が次々と移り変わる状態を示します。「あなたに興味がある」と言いながら、数週間後には別の相手に関心が移っているようなパターンです。
相手が若くて経験が少ない場合は、本人も自分の気持ちに自信がなく、何が本当に欲しいのかわからずに迷っている可能性があります。悪意はないが、結果的に相手を振り回してしまうタイプです。
自分の気持ちに出た場合は、「本当にこの人が好きなのか」を自問する時期を示します。相手の外見や条件に目を奪われていないか、一時的な盛り上がりで本質を見失っていないかを、一度冷静に確認してください。
復縁の相談では、「あの人ともう一度」という気持ちが、本当の愛情なのか、単なる未練や執着なのかを見極める必要があります。
仕事での解釈
仕事においては、努力の方向が間違っている可能性を示します。一生懸命やっているのに結果が出ない場合、やり方そのものを見直す時期かもしれません。
もっちぃ講座の例にある「上司の機嫌取りなど変な方向に力を使う」のは典型例です。本当に評価されるべき成果を上げることではなく、表面的な好感度を稼ぐことに労力を使ってしまうパターンです。
勉強・資格取得・スキルアップに関しては、目標が曖昧なまま手を広げすぎている警告でもあります。「何となく役立ちそうだから」という理由で複数の分野を並行して学び始めると、結果的にどれも中途半端に終わります。一つのことを決めて、それに集中する姿勢を取り戻してください。
新入社員や若手が登場する相談では、本人のやる気はあるが空回りしている状況を示します。周囲は焦らず、本人が自分で方向性を定めるのを待つ姿勢が求められます。
金運での解釈
金運においては、計画性のない出費、学費や投資のムダを示します。「これが儲かる」「これが将来役立つ」と聞いて次々と講座や教材を購入しては使い切らない、というパターンに注意が必要です。
Waiteは逆位置に「浪費・放蕩・気前のよさ・贅沢、不利な知らせ」という言葉を与えています。特に「liberality(気前のよさ)」は、自分自身への投資と称した過剰消費の警告です。
また、若い人や経験の浅い人にお金を貸すと返ってこない可能性も示します。情に流されて貸したお金が、相手の浪費で消えるパターンに注意してください。
このカードが示す人物像
ペンタクルのペイジが表す人物は、新しいことを真摯に学び始めた若き探求者です。真面目で勤勉、紳士的で、想像力や探求心を備えた明るさを持っています。派手さはないけれど、一つのテーマに地道に取り組む忍耐力があり、長期的には確実に実力を伸ばしていくタイプです。
もっちぃ講座では、この人物像を「ロードローラーのように何でも平らにして一生懸命頑張る人」と説明しています。派手な飛躍はないが、前に進むたびに確実に地盤が固まっていく存在です。
なお、このカードの「若者」は物理的な年齢に限定されません。新しいことを学び始めたすべての年代の人に当てはまります。40代で英語を学び始めた会社員、50代で占いを学ぶ主婦、定年後にプログラミングを始めた方——いずれもペンタクルのペイジです。
逆位置で出た場合は、目移りが激しく、どれも中途半端に終わる人物、あるいは努力の方向を間違えて空回りしている人物を示します。本人は真面目に取り組んでいるつもりですが、目標設定が曖昧なために成果が出ない状態です。
このカードが示す状況
ペンタクルのペイジが示す状況は、「学びの入り口に立ち、一歩ずつ進み始めた時期」です。
正位置の場合、あなたは今、新しい分野・新しい関係・新しい挑戦の初期段階にいます。まだ成果は出ていませんが、確かな関心と向学心が芽生えており、着実に知識や経験を積み重ねている状態です。焦って結果を急ぐ時期ではなく、基礎を丁寧に固めることが最優先です。
逆位置の場合は、興味はあるが集中できず、あちこちに手を出している状況、または努力の方向が的外れで成果が出ない状況を示します。どちらも、一度立ち止まって「本当に追求したいことは何か」を整理する必要があります。
筆者のLINE公式アカウントでは、占い師の世界や人気占い師になるための方法について、無料動画講座を配信しています。
LINE公式アカウントに登録する
リーディングのアドバイス
他のカードとの組み合わせ例
ペンタクルのペイジは「学びの入り口」のカードですが、隣に来るカードで意味が変わります。
- ペンタクルのペイジ + ペンタクルの8: 学びが職人技へと成長する流れ。基礎学習から実践段階へ
- ペンタクルのペイジ + 魔術師: 学んだ知識を創造的に使う準備が整う段階
- ペンタクルのペイジ + 運命の輪: タイミング良く学びが実を結ぶ、幸運な転機
- ペンタクルのペイジ + ソードのペイジ: 知的好奇心が重なり、同世代の学習仲間との交流が増える
- ペンタクルのペイジ + 月: 学んでいる内容に迷いが生じる。方向性の再確認が必要
初心者がよくする誤読パターン
ペンタクルのペイジに対する典型的な誤読は、「若い人」のカードだと限定してしまうことです。このカードは年齢ではなく、新しいことを学び始めた段階を示します。40代・50代・60代の相談者に出ても全く問題ありません。
もう一つの誤読は、Papusの「金髪の子供」やMathersの「肌の浅黒い若者」といった容姿描写に引きずられることです。現代日本の鑑定では、容姿の読みよりも「真面目で勤勉な学習者」という性格の読みを優先してください。
また、「使者」「手紙」という古典的な意味も、現代ではメール・SNSメッセージ・公式通知などに読み替えて使います。Thierensが「栄誉ある呼称、委託、地位や関係、契約、職業についての知らせ」と述べたように、ペンタクルのペイジは実質的な良い知らせを運ぶこともあります。
実践的な読み方のコツ
ペンタクルのペイジのリーディングで最も重要なのは、相談者が今「何を学び始めた段階にいるのか」を具体的に把握することです。
「新しいことを始めましょう」という抽象的なアドバイスでは伝わりません。相談者の現状をヒアリングし、今まさに学び始めたテーマ・始めようとしているテーマを明確にしてから、「そのテーマに真摯に向き合う姿勢が今求められています」と伝えるのが効果的です。
正位置で出たときは、成果を急がないこと。1年・3年・5年単位の視野で捉えるよう促してください。逆位置で出たときは、相談者が複数のことに手を出して疲弊していないかを確認し、優先順位の整理を手伝ってあげてください。逆位置の読み方全般については逆位置の読み方ガイドも参考にしてください。
タロットを実際に引いてみる
Prophetess Tarotを使えば、ブラウザ上でタロットをすぐに引けます。登録不要・完全無料。いま抱えている問いを思い浮かべながら、ワンオラクル(1枚引き)で1枚引いてみてください。出たカードの解説記事から、今日のあなたへのメッセージを読み解けます。
占い師を目指す方へ。LINE公式アカウントでは、占い師になるための無料動画講座を配信しています。
LINE公式アカウントに登録する
参考文献
- A.E. Waite, *The Pictorial Key to the Tarot*, London: William Rider & Son, 1910
- S.L. MacGregor Mathers, *The Tarot: Its Occult Signification, Use in Fortune-Telling, and Method of Play*, London, 1888
- A.E. Thierens, *The General Book of the Tarot*, 1928
- Papus (Gérard Encausse), *The Tarot of the Bohemians* (trans. A.P. Morton), London: Chapman & Hall, 1892
- Aleister Crowley, *The Book of Thoth*, London: Ordo Templi Orientis, 1944
著者紹介
五十六謀星もっちぃ / 占い業界歴19年。10代で占い師デビュー後、対面鑑定や電話占いで延べ5万人を鑑定。著書『1日2時間で月10万円 はじめよう電話占い師』(同文舘出版)、『五十六謀星もっちぃの占星術講義』(説話社・占い大学公式テキスト)。フジテレビ「ノンストップ!」等に出演。ananweb(マガジンハウス)で星占い記事「もっちぃ占ぃ」を担当。250人以上の占い師を育成。




