
タロット小アルカナのカップの6は、古い庭園で少年が少女に花の入ったカップを差し出す情景を描いた札です。絵本の世界のような温かく爽やかな光景に、6つのカップが静かに並んでいます。
カップの6が象徴するのは「懐かしさ」と「ノスタルジー」。カップの5で味わった喪失感が、時間を経て温かな記憶へと変わった段階です。
この記事では、占い業界歴19年のプロ占い師・五十六謀星もっちぃが、カップの6の正位置・逆位置の意味を恋愛・仕事・金運の場面別に詳しく解説します。
カップの6の基本情報

- アルカナ: 小アルカナ
- スート: カップ(Cups / 聖杯)
- カード番号: 6(Six)
- 元素: 水
- 占星術対応: 山羊座第1デカン+月(Christian)/太陽×蠍座(Crowley: “PLEASURE”)
- キーワード: 懐かしさ・ノスタルジー・無垢・過去の記憶・兄弟愛
カップは水のスート。6はクロウリー『トートの書』(1944年)で「PLEASURE(快楽)」と名付けられ、ティファレト(美・太陽)と水の組み合わせによる「努力や緊張なしの自然な調和」の段階と解釈されます。
カードに描かれた図柄の意味
ウェイト版のカップの6には、古い庭園で少年が少女に花の入ったカップを差し出す姿が描かれています。6つのカップにはそれぞれ白い花が挿され、絵本の世界のような温かい情景を作り出しています。
ウェイトはこの札の占い上の意味を次のように記しています。
過去と記憶のカード。振り返り(例えば幼少期への)、幸福、楽しみ、しかしむしろ過去から来る。消えたもの。別の解釈は逆転で、新しい関係、新しい知識、新しい環境を与え、その場合子どもたちは不慣れな場所で遊んでいる。逆位置:未来、更新、まさに起ころうとすること。
— A.E.ウェイト『タロット図解』(1910年)(筆者訳)
白い花が呼び起こす「白昼夢」
もっちぃ講座では、この絵に挿された白い花(百合)に注目します。白昼夢や過去の記憶を呼び起こす象徴であり、単なる装飾ではありません。
カップの5(喪失)の冷たい哀しみとは異なり、カップの6には温かな感情を匂いや温かみまで感じるような激しいリアリティが伴います。「あの時こうだったな」と思い出すだけでなく、その匂いや空気まで感覚的に蘇ってくる——それほど鮮明な記憶の呼び起こしです。
同じ「過去」でも温度が違う
もっちぃ講座は、カップの5とカップの6を温度の違いで教えることを強調します。
- カップの5: 失ったものを見つめて塞ぎ込む(冷たい過去)
- カップの6: 失ったものを温かく思い出して心が満たされる(温かい過去)
同じ「過去を振り返る」札でも、冷たさと温かさが正反対。この違いを押さえると、リーディングの深みが増します。
古典文献での占い義
- Mathers(1888年): 「過去、過ぎ去った、色褪せた、消えた、去った。逆:未来、来るべきもの、間もなく」
- Papus(1889年): 「障害が勝利する。幸福の只中で愛が破壊される」(やや悲観的)
- Thierens(1928年): 「幸福、自分の中の豊かさの感情、喜び、享楽、自然と田舎暮らしへの愛、芸術、軽めの音楽や演劇への愛、健康、饗宴。美への受容性」
- Crowley(1944年): 「快楽——太陽×蠍座。水に対する太陽の影響。努力や緊張なしの自然な力の調和、安楽、満足」
正位置の意味
基本的な解釈
カップの6の正位置は「懐かしさ」「ノスタルジー」を意味します。過去の温かな記憶や、無垢な愛情が心を満たしている状態です。
このとき内面で起きているのは、兄弟愛、無償の愛、そして過去の情景への優しい眼差し。計算や打算のない、純粋な気持ちが流れています。
解決策は、見返りを求めず無垢な心で向き合うこと。カップを差し出す少年のように、相手の反応を期待しない純粋な贈り物が、結果的に深い絆を育てます。
恋愛での解釈
恋愛においてカップの6の正位置は、母や父のような優しさ、最高に嬉しくなる感情を示します。激しい情熱ではなく、穏やかで深い安心感を伴う愛情の形です。
新しい出会いを求める方には、同窓会での出会いや同級生との関係深化が有力な選択肢となります。懐かしい人との再会、学生時代からの知り合いとの思わぬ展開——こうした「過去との接点からの縁」が期待できます。
既に交際中のカップルには、兄弟のような関係性、友達夫婦のような対等で温かな絆を示します。ドラマチックな展開ではなく、日常の中で育まれる信頼関係が深まる時期です。
また、初恋の相手との再会や、長年連絡が途絶えていた相手からの連絡といった「過去の関係の再始動」も示唆します。
仕事での解釈
仕事においては、純粋な気持ちで周りに接する時期を示します。利害打算ではなく、「人のために役立ちたい」という素朴な気持ちが仕事の原動力になっている状態です。
故郷に帰って仕事をする、子ども向けの事業を始める、人々にノスタルジーを与えるような優しい仕事の仕方——こうした「温かさを核にした働き方」が成果を生む時期です。
また、古い取引先との再契約、以前一緒に働いた仲間とのプロジェクト立ち上げといった「過去の縁の復活」も示します。
金運での解釈
金運においては、無償で人に何かを与えることで、巡り巡って自分に返ってくる時期を示します。身近な家族や友人への小さな贈り物、気軽なプレゼント——こうした無償の分かち合いが金運の流れを整えます。
古い投資や貯蓄が実を結ぶタイミングでもあります。長期保有していた資産、忘れていた口座——こうした「過去のお金」にまつわる嬉しい知らせが入る可能性があります。
逆位置の意味
基本的な解釈
カップの6の逆位置は「過去への執着」を意味します。正位置の温かな思い出が、戻れない過去への無意味な執着に変質した状態です。
このとき内面で起きているのは、思い出を美化する気持ち。当時は必ずしも良いことばかりではなかったのに、「昔は良かった」と脚色して語り続けてしまう。現在の自分を認められず、過去に逃げ込んでいる段階です。
解決策は、「昔は良かった」という考え方を改めること。当時の記憶を客観的に見直し、今の自分にとって本当に戻るべき過去なのかを問い直してください。
恋愛での解釈
恋愛において逆位置が出た場合、最初の会社が一番良かったと言い続けるような、絶対に戻れない/戻るべきではない過去の恋愛への執着を示します。
元恋人を美化し続ける、初恋の相手が忘れられない、「あの頃の彼(彼女)に戻って」と現在の恋人に求める——こうした過去への囚われが現在の関係を歪ませている状態です。
復縁の相談で逆位置が出た場合は、復縁すべきではない関係に執着している可能性を示唆します。別れた理由を直視せず、楽しかった記憶だけを持ち出している——その状態では復縁しても同じ結末を繰り返します。
仕事での解釈
仕事においては、過去の成功体験に縛られて新しいやり方に適応できない状況を示します。「昔はこのやり方でうまくいった」が口癖になり、変化を拒む時期です。
古い人間関係にこだわりすぎて、新しい人脈が広がらないという側面もあります。
金運での解釈
金運においては、過去の浪費癖が再び顔を出す、あるいは過去の儲かった投資手法に固執して損失を出すといったパターンを示します。
このカードが示す人物像
カップの6が表す人物は、無垢で温かく、人に優しい心を持つ人です。損得勘定で動かず、純粋な気持ちで周囲と接する。兄弟のような親しみやすさを持ち、誰とでも和やかな関係を築けるタイプです。
幼馴染、同級生、昔からの友人——こうした「過去から続く関係を大切にする人物」がカップの6に重なります。また、子どもや年配の方との関わりが得意で、世代を超えた温かい縁を結ぶ人でもあります。
逆位置では、過去に囚われて前に進めない人物を示します。「あの頃は良かった」が口癖で、現在の人間関係や環境を受け入れられないタイプ。悪意はないものの、周囲を過去の話に付き合わせてしまう傾向があります。
このカードが示す状況
カップの6が示す状況は、「過去の温かな記憶が、現在を満たしている時期」です。
正位置の場合、あなたは今、純粋で優しい気持ちに包まれている時期にいます。激しい展開はないものの、日常の中に小さな幸福が散りばめられている状態。昔からの友人や家族との時間、懐かしい場所の再訪——こうした穏やかな体験が心を豊かにします。
逆位置では、過去に意識が向きすぎて現在を生きられない状況を示します。思い出の中に安らぎを求めすぎて、目の前の現実がぼやけてしまう時期です。
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リーディングのアドバイス
他のカードとの組み合わせ例
- カップの6 + カップの5: 喪失から懐かしさへ。冷たい過去が温かい記憶に変わる癒しの流れ
- カップの6 + 恋人: 幼馴染や旧友との恋愛関係への発展。純粋な絆から始まる縁
- カップの6 + ペンタクルの10: 家族や親族との深い絆。世代を超えた温かな関係
- カップの6 + 運命の輪: 過去との再会、懐かしい人からの連絡。巡り合わせの妙
- カップの6 + 月: 過去の記憶が夢想的に膨らむ。事実と美化の境界が曖昧になる危険
カップの5とカップの6の違い
カップの5(喪失)とカップの6(懐かしさ)は、どちらも過去を扱う札ですが温度が正反対です。
カップの5は失ったものを冷たく悼む状態。黒いマントを纏い、倒れた3つのカップを見つめる孤独な情景です。一方カップの6は失ったものを温かく思い出す状態。明るい庭園で、白い花に満たされたカップが並びます。
同じ「過去」というテーマでも、悲しみの中にいるのか、温かさの中にいるのか——この違いを押さえると、相談者の心理状態を正確に捉えられます。
初心者がよくする誤読パターン
カップの6の誤読で多いのは、「子どもの絵柄」を見て「子宝」とだけ短絡的に読むことです。確かに子どもに関わる事柄を示すこともありますが、本質は「温かな記憶」と「無垢な愛情」であって、妊娠・出産を直接的に示す札ではありません。
また、ノスタルジーを単純に「良い思い出」とだけ読むのも浅い解釈。過去を美化することの危うさも、このカードは同時に示唆しています。相談者が現在から目を背けるために過去に逃げていないか、確認する視点が必要です。
たとえば「復縁できますか」という質問にカップの6の正位置が出た場合、「温かな記憶があるから復縁できる」とは単純に読めません。「過去の良い記憶があるのは事実だが、それが現在の関係に戻れる理由とは限らない」という、ひと踏み込んだ読みが必要です。
実践的な読み方のコツ
カップの6が出たときのポイントは、「過去から何を受け取って、何を手放すか」を考えることです。
正位置なら、過去からの温かな贈り物を今の人生に活かす方向で読みます。懐かしい人との再会、昔からの趣味の再開、故郷への回帰——こうした「過去を現在の資源に変える動き」を提案してください。
逆位置なら、過去への執着を手放す助言が必要です。思い出を大切にしつつも、今を生きる視点を取り戻す——このバランスを伝えることがプロのリーディングです。リーディング力を高めたい方はタロットリーディングのコツも合わせてご覧ください。
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参考文献
- A.E. Waite, *The Pictorial Key to the Tarot*, London: William Rider & Son, 1910
- S.L. MacGregor Mathers, *The Tarot*, London, 1888
- Papus (Gérard Encausse), *The Tarot of the Bohemians* (trans. A.P. Morton), 1892
- A.E. Thierens, *The General Book of the Tarot*, 1928
- Aleister Crowley, *The Book of Thoth*, London: Ordo Templi Orientis, 1944
- Paul Christian, *Histoire de la Magie*, Paris, 1870
著者紹介
五十六謀星もっちぃ / 占い業界歴19年。10代で占い師デビュー後、対面鑑定や電話占いで延べ5万人を鑑定。著書『1日2時間で月10万円 はじめよう電話占い師』(同文舘出版)、『五十六謀星もっちぃの占星術講義』(説話社・占い大学公式テキスト)。フジテレビ「ノンストップ!」等に出演。ananweb(マガジンハウス)で星占い記事「もっちぃ占ぃ」を担当。250人以上の占い師を育成。




