
大アルカナの17番目を担うのが星です。塔(16番)ですべてが崩れ去った後、荒野に立ち上がった魂が、最初に見上げるのが夜空に輝く星。絶望の後に訪れる、静かな希望のカードです。
星は「癒しと平和」を象徴します。川のほとりに膝をつく裸の女性が、金の壺と銀の壺から生命の水を大地と川に注ぐ姿。頭上には大きな輝く星と、それを取り巻く7つの小さな星。背景の茂みに鳥が一羽。静けさの中に、次なる希望の芽生えを描くカードです。
この記事では、占い業界歴19年のプロ占い師・五十六謀星もっちぃが、星の正位置・逆位置の意味を恋愛・仕事・金運の場面別に詳しく解説します。
星の基本情報

- アルカナ: 大アルカナ
- カード番号: 17(XVII)
- 対応する星座: 水瓶座(Aquarius、Case説)
- 対応する象徴: シリウス(犬星)、八芒星
- キーワード: 癒し・希望・理想・未来・直感・インスピレーション
カードに描かれた図柄の意味
ライダー・ウェイト版の星は、裸の女性が川辺に片膝をつき、金の壺から地に、銀の壺から水に「生命の水(Water of Life)」を注ぐ姿で描かれます。頭上には8本の光線を持つ大きな星と、同じく8本の光線を持つ7つの小さな星。背景には丘と樹木、その上には鳥(朱鷺またはプシュケの蝶)が止まっています。
A.E.ウェイトは星を次のように評しました。
このカードを「希望のカード」と呼ぶのは通俗的な説明にすぎない。むしろこのカードは、不滅と内なる光を表し、ヴェールを脱いだ真理を示している。女性は永遠の若さと美を体現している。
— A.E.ウェイト『タロット図解』(1910年)(筆者訳)
大きな星と7つの小さな星
中央の大きな星は、犬星シリウス、北極星、金星など諸説あります。いずれにせよ「自分自身が目標としていた希望のゴール」を象徴するシンボルです。周囲の7つの小さな星は、古代の7惑星(太陽、月、水星、金星、火星、木星、土星)や、人体の7つのプラーナ中心(チャクラ)に対応すると解釈されます。ポール・フォスター・ケースは「大きな星はシリウス、イシス・ソティス星」と同定しました。
生命の水を注ぐ女性
女性は、金と銀の2つの壺から生命の水を注いでいます。右の壺からは大地へ、左の壺からは川へ。ケースはこの行為を「右の壺は直感を通じた真理の直接的知覚、左の壺の水は地に着くと5つの流れに分かれ、五感を通じた間接的知覚を表す」と解釈しました。
泥臭い希望
星のカードは「癒しと平和」を象徴しますが、すべてが満たされている状況というよりは、暗いトンネルの向こうに見える一筋の光明のような、「汗臭い努力の末に得る希望(泥臭さや頑張りを含んだ希望)」と解釈すると、より適切な占いになります。
星が夜空に輝いているように、周囲は暗闇の中。つまり、苦しみや試練が続いている中で、唯一頼りになる希望の光が星です。だからこそ、このカードは「絶望の後の希望」という文脈で最も力を発揮します。
月との違い
星のカードも夜が描かれていますが、18番の月のカードとの区別が大切です。星の場合は「見通しは立っているが、現状はそこまで楽ではない」という前提で解釈するのが適切です。月が「不安の闇」なら、星は「希望の光」です。大アルカナ全体の流れの中で星の位置づけを確認したい方はタロットカードの意味一覧も参照してください。
正位置の意味
基本的な解釈
星の正位置は「癒しと平和」を意味します。希望、未来が明るい状態、理想の実現、目的の達成、予兆、直感力、インスピレーション(霊感)を司るカードです。
西洋社会で星を観測して未来を予測したことから、類い稀なる直感力を有することを意味します。理性的な判断を超えて、心の奥から湧き上がる「こうすべき」という確信に従うべき時期です。
解決策としては、直感に頼っていいということ。理屈で考えても答えが出ない時は、星に導かれるように素直な感覚で動くことが吉を呼びます。
恋愛での解釈
恋愛において星の正位置は、理想の相手との出会いや、関係の充実を示します。自分が「こんな人と付き合えたらいいな」と思う条件をすべて満たしている理想的な相手を表すため、結婚を示すカードとして非常に良いとされます。
「星のようにきらびやかに輝く人」という意味から、単純に見た目が良い人(眉目秀麗な人)を表すこともあります。
一方、問題点として星が出た場合は、相手がモテすぎることや、相談者の理想が高すぎる(理想主義者である)ことを問題点として指摘する場合があります。
時期予測スプレッドで付き合える時期の「実現を助ける要素」に出た場合は、「希望の星が2人の関係成就を助けてくれる」と力強く捉えます。
復縁相談で相手の恋愛状況に逆位置が出た場合は、相手には好きな人くらいはいるかもしれないが、うまくいっていない(希望がうまくいっていない)と読み取り、そこからどうにかする手(つけ入る隙)を考えます。
仕事での解釈
仕事においては、才能と評価を示します。才能ある人を「スター」と呼ぶように、まさに才能を表します。上司や周囲からの評価に出た場合、「キラキラした才能で光り輝いている」と評価されている状態です。
ただし、問題点として出た場合は、直感に頼りすぎている、星の流れに左右されやすい状況を問題点として読むことができます。「ひらめきだけで動いて実務が追いついていない」状態を警告するカードにもなります。
ヘキサグラムスプレッドのキーカードに星が出た場合は、全体を「希望がある」という良い方向に定めて読みます。他のカードの語尾に「希望がある」とくっつけて、明るく読み解きます。
金運での解釈
金運においては、長期的な目標に向かって確実に進んでいる状態を示します。派手な臨時収入ではありませんが、理想に近づく安定した収入を示唆します。
ただし、ケルト十字スプレッドで「家を売却すべきか」の今後の展開に逆位置が出た場合は、不動産屋に「買った時の1.5倍で売れますよ」と甘い夢(希望)を見せられる展開があるが、「その言葉だけに乗せられちゃいけませんよ」と警告する読み方をします。
逆位置の意味
基本的な解釈
星の逆位置は「誇大妄想」を意味します。理想や目標が高すぎる、希望を持ちすぎる、楽観的すぎる、環境に甘えすぎる状態です。
正位置の「希望に燃えている」状態に対し、逆位置は「たった1つの希望にすがる」状態となります。目指しているゴールがすべてだと思い込みすぎている状況です。
「希望が潰える」と読む本もありますが、それよりも「目標が間違っていた」「希望にたどり着くまでの努力が足りない」、あるいは「何を目指していたのか分からなくなり迷いが生じる瞬間」と解釈した方が分かりやすいとされています。
逆位置の解釈全般については逆位置の読み方ガイドも参考にしてください。
恋愛での解釈
恋愛において星の逆位置は、理想が高すぎて現実の相手を受け入れられない状態を示します。あるいは、「運命の人」という幻想に囚われて、目の前の良縁を逃しているパターンです。
仕事での解釈
仕事においては、夢ばかり追って現実の行動が伴わない、「いつか成功する」と言い続けて実務に取り組まない、といった状態を示します。具体的な計画と行動が必要です。
金運での解釈
金運においては、過度な楽観視や、「いつか大当たりする」という依存的な期待を警告します。
このカードが示す人物像
星が表す人物は、理想家でインスピレーションに満ちた人、夢を語れる人、清らかで美しい人です。カリスマ性と静けさを併せ持つタイプ。
具体的には、芸術家、詩人、ヒーラー、カウンセラー、占い師、スピリチュアルリーダーなどが該当します。また、外見的な美しさを持つ人も星のカードで表されます。
逆位置で出た場合は、夢見がちな理想主義者、地に足がついていない人、現実を見ない人を示します。
このカードが示す状況
星が示す状況は、「試練を経て見えてくる希望の場面」です。
正位置の場合、現状は困難を通過してきた後の静かな時間にあります。派手な成功ではありませんが、心の奥から「大丈夫、進める」という確信が湧き上がってくる段階です。
逆位置の場合は、「理想と現実のギャップに苦しむ状況」「夢を追いすぎて現実が見えない状況」「希望が空回りしている状況」を示します。
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リーディングのアドバイス
他のカードとの組み合わせ例
星は周囲のカードによって、希望の色合いが決まります。
- 星 + 世界: 理想が完全な形で実現する瞬間。夢が現実となる究極の組み合わせ
- 星 + 塔: 崩壊の後に訪れる希望。試練を経て得られる新しい視界
- 星 + 月: 不安の中にかすかに見える希望の光。直感を信じるべき時期
- 星 + 太陽: 希望が明確な成功に発展する。理想の現実化
- 星 + 節制: 穏やかに理想が実現する調和の状態
初心者がよくする誤読パターン
星に対して最もよくある誤読は、「希望があります」とだけ伝えて終わってしまうパターンです。星の希望は「泥臭い努力を経て得られるもの」であり、何もせずに得られる幸運ではありません。「今は努力を続けるべき時」というメッセージを伝える必要があります。
もう一つの典型的な誤読は、月との混同です。星と月はどちらも夜の情景を描きますが、星は「希望」、月は「不安」と方向性が対照的です。絵柄だけでなく、カードが持つエネルギーの違いを押さえましょう。
実践的な読み方のコツ
星のリーディングで大切なのは、「直感を信じるよう促す」ことと、「希望の泥臭さを伝える」ことです。
相談者へのセリフ例としては、ワンオラクルで「今の仕事を続けるべきか」に星が出た場合、「星は『希望があること』を示すカードなので、このまま仕事を続けていけばいいことありますよ」とシンプルに後押しします。
リーディング力を磨きたい方はタロットリーディングのコツも合わせてご覧ください。
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参考文献
- A.E. Waite, *The Pictorial Key to the Tarot*, London: William Rider & Son, 1910
- Éliphas Lévi, *Transcendental Magic: Its Doctrine and Ritual* (trans. A.E. Waite), London: George Redway, 1896(原著: *Dogme et Rituel de la Haute Magie*, 1856)
- Antoine Court de Gébelin, *Le Monde Primitif, analysé et comparé avec le monde moderne*, Vol.8, Paris, 1781
- S.L. MacGregor Mathers, *The Tarot*, London, 1888
- Papus (Gérard Encausse), *The Tarot of the Bohemians*, London: Chapman & Hall, 1892
- P.D. Ouspensky, *The Symbolism of the Tarot*, 1913
- Paul Foster Case, *An Introduction to the Study of the Tarot*, New York, 1920
- Manly P. Hall, *The Secret Teachings of All Ages*, San Francisco: H.S. Crosby, 1928
著者紹介
五十六謀星もっちぃ / 占い業界歴19年。10代で占い師デビュー後、対面鑑定や電話占いで延べ5万人を鑑定。著書『1日2時間で月10万円 はじめよう電話占い師』(同文舘出版)、『五十六謀星もっちぃの占星術講義』(説話社・占い大学公式テキスト)。フジテレビ「ノンストップ!」等に出演。ananweb(マガジンハウス)で星占い記事「もっちぃ占ぃ」を担当。250人以上の占い師を育成。




