
タロットの小アルカナには、チームで成し遂げる仕事の喜びを描いた1枚があります。それがペンタクルの3です。
ペンタクルの3は「協力・チームワーク・職人技」を象徴するカードです。建設中の教会で3人が役割を分担しながら一つの作品を作り上げる図像は、異なる専門性が噛み合って形になる瞬間を表しています。
この記事では、占い業界歴19年のプロ占い師・五十六謀星もっちぃが、ペンタクルの3の正位置・逆位置の意味を恋愛・仕事・金運の場面別に詳しく解説します。
ペンタクルの3の基本情報

- アルカナ: 小アルカナ
- スート: ペンタクル(Pentacles / Coins / Disks)
- カード番号: 3(Three)
- 元素: 地(Earth)。※ A.E. ティーレンスのみ独自説で「火」と解釈
- 別名: Lord of Material Works(物質的作業の主)/Work(仕事)
- キーワード: 協力・チームワーク・職人技・役割分担
カードに描かれた図柄の意味
ライダー・ウェイト版のペンタクルの3には、建設中の教会で作業する3人の人物が描かれています。足場の上で彫刻をする職人、設計図を手にした修道僧、そしてもう一人の依頼人らしき人物。それぞれが違う役割を担いながら、一つの建築に関わっています。
このカードをデザインしたA.E.ウェイトは、ペンタクルの3を次のように描写しています。
修道院で働く彫刻家。ペンタクルの8のデザインと比較せよ — 彼は徒弟・アマチュアだったが報酬を得て今は本気で働いている。占的意味: 専門職・商売・熟練労働。ただし一般には高貴・貴族・名声・栄光のカードとみなされる。逆位置: 凡庸さ、幼稚さ、些末さ、弱さ。
— A.E.ウェイト『タロット図解』(1910年)(筆者訳)
ウェイトは特にペンタクルの8との比較を強調しています。8は一人で黙々と職人技を磨く姿、3は成長した職人が他者と協働して成果を生み出す姿。両者を対比することで、3の本質が「一人の技術」ではなく「協業の成果」にあることが浮き彫りになります。
3人それぞれの役割
興味深いのは、3人がまったく違う立場にあることです。彫刻職人は技術を、修道僧は精神的・信仰的方向性を、依頼人は資金と企画を持ち寄っています。このカードが示す「協力」は、同じ作業を皆でやることではなく、異なる専門性を持ち寄ることなのです。
この構造は、現代のプロジェクトチームやクライアントワークにそのまま当てはまります。デザイナー、エンジニア、プロデューサー。医師、看護師、事務。それぞれの役割が噛み合って初めて、一つの成果が生まれます。
古典文献のペンタクルの3像
S.L.M.マザースはペンタクルの3を「高貴・向上・威厳・地位・権力」と定義しました。マルセイユ版の時代から、このカードは「価値のある仕事への報酬」「社会的地位」と結び付けられていました。
アンティーヌ・クール・ド・ジェブランは、デニエの3を「神秘的な数であり、『主』『マスター』と呼ばれ、至高神『大いなるイウ』に捧げられる」と解釈しました(『Le Monde Primitif』1781年)。すでに18世紀の段階から、このカードには「マスター(熟練の主)」のニュアンスがありました。
アレイスター・クロウリーは『The Book of Thoth』(1944年)でこのカードを「Lord of Work(仕事の主)」と呼び、「ペンタクルの3は地の観念、諸力の結晶化の結果を示す。確実に何かがなされた」と記しています。抽象的な可能性ではなく、目に見える成果が形になった瞬間を表すカードなのです。
ティーレンスは結論として「文明、貴族性、良い職人芸、技能、雇用、職業、結婚。他者への善行、恵み、ビジネスにおける有益な関係」を挙げています。個人の能力と社会的関係が結びついて成果を出す状態、といえるでしょう。
小アルカナ全体の位置付けについてはタロットカードの意味一覧も参考にしてください。
正位置の意味
基本的な解釈
ペンタクルの3の正位置は「協力」を意味します。自分を抜擢し、認めてくれる存在が周囲にいて、その中で自分の役割(機能)をしっかり果たしている状態です。
このカードが出たときの気持ちは、期待に応えようと努力する前向きな緊張感。一人で抱え込むのではなく、チームの一員として責任を引き受け、他者の期待に真摯に応えていく姿勢です。
解決策は、相手の要求に真摯に対応すること。独りよがりの創造性ではなく、相手が何を求めているかを理解し、それに応える形で自分の力を発揮することが鍵になります。
恋愛での解釈
恋愛においてペンタクルの3の正位置が出た場合、お互いの良い部分を尊重し合い、チームワークの良い関係を築ける相手を示します。片方が一方的に我慢するのではなく、二人で協力して関係を育てていくタイプの愛情です。
新しい出会いの場面では、建設的にコツコツとアプローチして形になる関係を暗示します。急速に燃え上がる恋ではありませんが、相手のために何かをしてあげたいと自然に思える間柄です。
片思いの相談で出た場合は、相手があなたを「一緒に何かを作っていけるパートナー」として見始めている可能性を示します。恋愛感情というより、まず信頼関係が先に芽生える流れです。
交際中のカップルに出た場合は、結婚準備・共働き・子育てなど、二人で役割分担して取り組むテーマが浮上する時期です。家事の分担、家計の管理、将来設計など、具体的な協力のテーマを話し合う機会が訪れます。ティーレンスも結論欄で「結婚は多くの善をもたらす」と記しています。
仕事での解釈
仕事においては、チームワークがうまく機能し、実績豊かな成果が上がる時期を示します。一人の力では到達できない水準の仕事が、チームの化学反応で形になります。
新しいプロジェクトが始まる場面で出た場合は、信頼できるメンバーと組めることを示唆します。上司、同僚、クライアント、外注先。立場の異なる関係者が建設的にかみ合い、良い結果に結びつきます。
転職を考えている場合は、あなたの専門性を正当に評価してくれる職場との出会いを示します。単なる雇用ではなく、あなたの技能が活きる環境に招き入れられる流れです。
クロウリーは「山羊座の火星(火星の高揚位置)」の支配を挙げ、「建築家・技師のように建設的なエネルギー」と表現しました。つまりこのカードは、計画を実物に変換する能力を示すカードでもあります。設計、制作、構築、施工。形を伴う仕事の吉札として非常に相性が良いカードです。
金運での解釈
金運においては、仕事の成果に対する正当な報酬を示します。一攫千金や棚ぼたではなく、協働で生み出した価値が金銭として分配されるタイプの収入です。
給与の昇給、プロジェクト報酬、成果配分、受注の増加など、自分の働きに対する明確な対価が期待できます。仕事仲間や取引先との信頼関係が、お金という形で返ってくる時期です。
また、チームで取り組む投資や共同事業にも相性の良いカードです。一人で抱え込むよりも、信頼できる人と組むほうが結果が出やすい局面です。
逆位置の意味
基本的な解釈
ペンタクルの3の逆位置は「プレッシャーに負ける」を意味します。正位置の協力関係が裏返り、未熟な対応により統率が取れない状態に陥ります。
ウェイトは逆位置に「凡庸さ、幼稚さ、些末さ、弱さ」という言葉を与えました。本来は高貴さや栄光のカードであるところから、一気に「平凡で中途半端な結果」へと転落する構造です。
気持ちとしては、投げやり・手抜き。期待されていた仕事を途中で放り出したくなる、責任を他人に押し付けたくなる、といった逃げの姿勢が前面に出ます。
解決策は、できる限りのことをするという地味な姿勢。結果の良し悪しを気にする前に、まず目の前の役割を果たしきる覚悟を持ち直すことが必要です。
恋愛での解釈
恋愛において逆位置が出た場合、結婚に至らない関係、統率の取れない恋愛を示します。お互いが違う方向を向いていて、役割分担が噛み合っていない状態です。
「一緒に何かを作っていく」意識が薄く、それぞれが自分の好きなように動いてしまう。あるいは、片方だけが関係構築の努力をしていて、もう片方が受け身に徹している。どちらのパターンでも、長期的な進展は期待しにくい状況です。
片思いの相談で出た場合は、相手があなたを「パートナー候補」として認識していないか、認識していてもあなたの努力に応えるつもりがない可能性を示します。一方通行の努力は、いずれ限界が来ます。
交際中のカップルに出た場合は、家事分担・金銭管理・子育ての方針などで意見が合わず、統率が取れない家庭運営を示唆します。話し合いの場を持ち、役割と責任を明確にし直す必要があります。
仕事での解釈
仕事においては、チームが機能していない状態を示します。メンバー間の連携が取れず、誰が何をしているのかが曖昧なまま、時間だけが過ぎていく状態です。
新人や未熟なメンバーが中心のチームで出た場合は、経験不足による空回りを警告しています。ベテランのサポートや、役割の明確化が急務です。
個人の働き方として出た場合は、自分の実力を過大評価している兆候として読みます。一人で抱え込もうとして失敗するパターンです。素直に周囲の助けを借り、身の丈に合った役割から立て直してください。
金運での解釈
金運においては、共同事業の不振や、仕事の成果が金銭に結びつかない状況を示します。チームとして利益を生み出す構造が機能しておらず、労力の割に実入りが少ない状態です。
特に注意すべきは、報酬の分配でもめるケースです。誰がどれだけ貢献したかの評価が曖昧なまま金銭の話になると、信頼関係に亀裂が入ります。事前に取り分を明確に決めておくことが重要です。
このカードが示す人物像
ペンタクルの3が表す人物は、組織や集団の中で自分の役割をしっかり持っている人です。スタンドプレーはしませんが、自分の持ち場では確実に成果を出し、周囲の信頼を勝ち取っています。
職人気質でありながら、独善的ではありません。自分の技術を相手のニーズに合わせて提供できる柔軟性を持ち、依頼人や仲間とのコミュニケーションも大切にします。クロウリーが「建築家・技師」と表現したように、計画を実物に落とし込む人としての側面が強いカードです。
ティーレンスは「文明、貴族性、良い職人芸、技能、快い関係、専門職、雇用、職業、結婚」と記しました。社会の中で専門性を持って生きる、プロフェッショナルな大人の姿がここに表現されています。
一方、逆位置で出た場合は、自分の役割を果たしきれない未熟な人物を示します。悪意があるわけではないのですが、実力不足や経験不足で周囲に迷惑をかけてしまう。あるいは、プレッシャーに耐えられず投げ出してしまうタイプです。
このカードが示す状況
ペンタクルの3が示す状況は、「異なる専門性が噛み合って成果を生んでいる」局面です。
正位置の場合、あなたは何らかのプロジェクトで自分の役割を果たしており、周囲もそれぞれの立場で貢献しています。チームワークの歯車がうまく回り、一人では不可能だった水準の成果が形になりつつある段階です。
クロウリーは「地の領域におけるビナーの影響は、宇宙の観念の物質的確立、その基本形態の決定を示す」と述べました。アイデアが設計図になり、設計図が建物になる — そんな観念から物質への変換が起きている状況です。
逆位置の場合は、「協力体制が崩れかかっている状況」または「未熟さゆえに成果が結実しない状況」を示します。各自が自分の役割を理解していない、責任の所在が曖昧、連携が取れていない。結果として、投入した労力に見合う成果が出てきません。
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リーディングのアドバイス
他のカードとの組み合わせ例
ペンタクルの3は単体では「協働の成果」のカードですが、隣接カードで意味が変わります。
- ペンタクルの3 + ペンタクルの8: 地道な技術研鑽がプロジェクトの成果に結実する流れ
- ペンタクルの3 + 恋人: パートナーとの役割分担・結婚準備・家庭の建設
- ペンタクルの3 + 皇帝: 組織内での地位確立。責任あるポジションへの昇進
- ペンタクルの3 + ペンタクルの10: 長期プロジェクトの成就・家族事業の繁栄
- ペンタクルの3 + ソードの3(逆傾向): チーム内の対立による計画の停滞
ペンタクルの3と8の違い
ウェイト自身が指摘しているように、ペンタクルの3と8は対比のカードです。8は「一人で黙々と技を磨く徒弟」、3は「他者と協働する熟練者」。
8が出たときは「孤独な修練の時期」、3が出たときは「その修練の成果を社会と結びつける時期」と読み分けます。相談者が今どちらのフェーズにいるのかを見極めるのが、小アルカナ・ペンタクルのリーディングで重要なポイントです。
初心者がよくする誤読パターン
ペンタクルの3で最もよくある誤読は、「協力=皆で同じ作業をすること」と読んでしまうパターンです。このカードの本質は異なる専門性の持ち寄りであり、全員が同じ方向を向いて同じ作業をすることではありません。むしろ役割が明確に分かれているからこそ、全体が機能します。
もう一つの誤読は、逆位置を「人間関係の破綻」とだけ読むパターンです。実際には、単にチームの立ち上げ期・未成熟期である可能性も高いのです。時間をかければ解決できる未熟さなのか、構造的に無理なのかを見極める必要があります。
また、「仕事のカード」とだけ読んで恋愛相談で扱いを軽くするのも典型的な誤読です。ティーレンスが結論欄で「結婚は多くの善をもたらす」と記しているように、このカードは二人で築く生活の相性も占えます。逆位置の読み方全般については逆位置の読み方ガイドも参考にしてください。
実践的な読み方のコツ
ペンタクルの3のリーディングで重要なのは、相談者が「誰と協力しているか/すべきか」を具体的に特定することです。漠然と「周囲と協力を」と伝えるのではなく、職場の誰、家族の誰、取引先の誰、と固有名詞レベルまで踏み込んで読むと精度が上がります。
鑑定の現場では、「一人で抱え込まず、役割を分担しましょう」「あなたの専門性を正当に評価してくれる人と組んでください」といったアドバイスがよく合います。
また、このカードは「抜擢される」という読み方もできます。上司、師匠、クライアントなど、あなたを見出して引き上げてくれる存在がいるのです。その人の期待にどう応えるかが、相談者のキャリアを左右する局面と言えます。リーディング力を高めたい方はタロットリーディングのコツも合わせてご覧ください。
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参考文献
- A.E. Waite, *The Pictorial Key to the Tarot*, London: William Rider & Son, 1910
- S.L. MacGregor Mathers, *The Tarot: Its Occult Signification, Use in Fortune-Telling, and Method of Play*, London, 1888
- Antoine Court de Gébelin, *Le Monde Primitif, analysé et comparé avec le monde moderne*, Vol. 8, Paris, 1781
- A.E. Thierens, *The General Book of the Tarot*, 1928
- Aleister Crowley, *The Book of Thoth*, 1944
著者紹介
五十六謀星もっちぃ / 占い業界歴19年。10代で占い師デビュー後、対面鑑定や電話占いで延べ5万人を鑑定。著書『1日2時間で月10万円 はじめよう電話占い師』(同文舘出版)、『五十六謀星もっちぃの占星術講義』(説話社・占い大学公式テキスト)。フジテレビ「ノンストップ!」等に出演。ananweb(マガジンハウス)で星占い記事「もっちぃ占ぃ」を担当。250人以上の占い師を育成。




