対面鑑定を中心にして活躍している占い師の先生が電話占い師になるには、時として鑑定内容に「忖度」を求められるとがあるのではないかという心配をしている方も多くいらっしゃるように思います。電話占いは対面鑑定とは違って「サービス業」としての対応が必要不可欠であるというのは果たして本当かどうか、現役の電話占い師にして、運営サイドとの交流経験も深い専門家の目線から解説します。
占いのお客様はほとんどが占いを求めている
極めて基本的なことではありますが、電話占いを含めて、占いを利用するお客様が求めているのはどこまで行っても「占い」です。占いも使わずにお客様のいうことに頷いて、良いことを言っているだけでどうにかなるほど、占い師の仕事は簡単ではありません。
売れている占い師は「嘘つき忖度占い」はしない!
ほぼすべての売れている電話占い師は、自分の占いや霊的能力に従って、真剣に占いをして答えを出しています。これは間違いありません。何も考えずに良いことだけを伝えるだけで信頼を勝ち得ることは非常に難しいことなのです。一瞬だけ注目される占い師になるには甘い言葉も効果を発揮することがあるかもしれませんが、占いを求めているお客様に対して占いをするという最低限の誠意を持っていなければ、売れ続けることはほとんど不可能です。
何を言ってもよいという訳ではない
ただし、占いに出ていることを何でもストレートに表現すれば良いという訳ではありません。鑑定結果の本筋を曲げる必要はないまでも、伝え方というものは存在します。そういう意味では、「サービス業」としての振る舞いを求められているともいえますが、それは仕事としての心構えというよりも、運命というデリケートな問題に触れる上での人としての心構えでもあると思います。
時として残酷な鋭い占い
難しい問題を抱えているお客様は、状況がよくないことを自分自身でもわかっていることがよくあります。そんな人に対して「全く無理で望みがない」という運命を伝えるとしたら、最大限の心配りをした言葉選びが必要不可欠なことは当然だと思います。たとえ冷酷な外科医の財前五郎でも、死を前にした患者さんに対して「もって三ヶ月です! 残念でした」とはいわないと思います。しかし実は、それと同等以上に冷たい表現をなさるか、ともすれば笑いながら厳しい未来を伝えてしまう人がいます。面接官としての経験からすると、意外なことに、占いの技術そのものに高い自信を持っている占い師さんの中に、こうした傾向が多いように思います。
電話占いならではの気遣い
占い師の目線から見れば、あまりに無謀でおかしくさえ思えるような恋愛相談だったとしても、その人が占い師にすがったのは、震えるような不安を感じているからですし、一縷の望みを占いに託しているからです。特に表情が見えない電話占いの世界においては、占い師のかける言葉の一つ一つが鋭く突き刺さるリスクは対面鑑定以上に高いといえます。その分を補う意味で、確かに電話占いは対面鑑定以上に気を遣う必要があるかもしれません。しかし、これはサービス業としてお客様を持ち上げているのではなく、人として当然の気遣いをしているだけだといえるのではないでしょうか。
電話占いと対面鑑定の違い
結論から言って、電話占いにおいても対面鑑定においても、基本的な占いに関する考えは同じであると筆者は考えています。電話鑑定では「良いことしか言ってはいけない」のではないかという心配は、電話占いの世界で求められていることの本質に対しての誤解から来るものであると断言します。違いがあるとするならば、お客様の層に多少の違いがあることです。
対面鑑定のお客様は占術が好きな傾向
対面鑑定のお客様と電話占いのお客様の大きな違いを挙げるなら、対面鑑定のお客様は占いそのものに対しての強い興味を抱いている方が多いのに対して、電話占いのお客様は占いの結果を求める傾向が強いといえるでしょう。それはある意味当然のことで、手相占いに興味がある人は言うに及ばず、易で占ってもらいたいと思うならば目の前で牒筮してもらうのが良いに決まっています。占術に対してのマニアックな技術を磨き続けたい人には対面鑑定が主戦場として向いているといえるかもしれません。
電話占いのお客様は実用的な占いを求める傾向
本当に強く悩む出来事が発生したとして、それを一秒でも早く解決したいという思いが生じたとき、対面鑑定の出演日を確認して予約を取って出向くよりもずっと早く、即座に電話で解決したいと思う気持ちが生まれることもあるでしょう。電話占いを支えているのはそうした需要です。ある意味では、そういったお客様こそ、占いを本当に信じて頼ってくれる人たちです。それこそ、占い師が本当に期待に応えなければならないメインターゲットであるといえましょう。
電話占いのお客様は甘い鑑定を求めてくるではないか!!
電話占いのお客様は優しい言葉や甘い未来を求めていらっしゃる方が、対面鑑定の場合と比較して多めにいることは否定しません。確かにそういう雰囲気を出しているお客様は多くいらっしゃいます。その理由は人それぞれで、切迫した悩みであるからこそ、良い未来を期待したいという人もいれば、占い師とは電話だけの付き合いだから思い切り甘えられるというお客様もいます。
しかし、お客様が求めているからといってそれを提供しなければならないということはありません。病院に行ってガンだと言われたい人はいませんが、しかし、ガンであることを見逃してほしい患者こそ、いよいよ存在しないのです。お客様の要求に流されることなく、占い師の信念を的確に貫くことこそが、占いに対しての需要を未来につなげるために必要な努力であると思います。
対面も電話占いも目指すべきところは同じ
占いのお客様が、占術そのものに興味を持っているのか、結論に興味を持っているのかに関わらず、占い師がするべきことは同じです。占いが示す未来を真剣に解読し、その信念に従って鑑定をするだけです。最終的に目指すべきことは、お客様を幸せにすることに他なりません。