この記事のポイント: 占い師が個人で活動するとき、意外と見落としがちなのが法律面の対応です。特に、ネット上でサービスを提供する場合は特定商取引法(特商法)に基づく表記が必要になります。占い業界歴19年の経験をもとに、占い師が押さえるべき特商法の基本を解説します。

占い師として個人で活動を始めると、鑑定の腕を磨くことや集客のことに意識が向きがちです。
しかし、法律面の対応を後回しにしていると、あとから面倒なことになるケースがあります。特に、自分のウェブサイトやSNSを通じてサービスを提供する場合、特定商取引法(以下、特商法)に基づく表記は避けて通れません。
「法律の話は苦手……」という方も安心してください。占い師に関わる特商法のポイントは、それほど複雑ではありません。この記事を読んで基本を押さえておけば、まず困ることはないはずです。
そもそも特商法とは何か
特定商取引法は、消費者を守るための法律です。訪問販売・通信販売・電話勧誘販売など、消費者トラブルが起きやすい取引形態に対して、事業者にルールを課しています。
占い師に関係するのは、このうち通信販売のカテゴリです。
「通信販売」と聞くと、ネット通販や物販のイメージが強いかもしれません。しかし、インターネットを介してサービスを提供し、対価を得る行為は、広く通信販売に含まれます。つまり、自分のサイトやSNSで占い鑑定を募集して、料金をもらう行為は通信販売に該当するのです。
占い師に特商法の表記は必要か
必要なケース
以下に該当する場合は、特商法に基づく表記が必要です。
- 自分のウェブサイトで鑑定メニューと料金を掲載し、申し込みを受け付けている
- SNS(Instagram、X、LINE等)で鑑定の募集をしている
- BASEやSTORESなどのプラットフォームで鑑定サービスを販売している
- メール・チャット鑑定をネット上で受注している
要するに、ネットを通じて不特定多数に向けてサービスを提供して対価を得る場合は、原則として表記が必要です。
不要なケース
- 電話占いサイトに所属している場合: 運営会社が特商法の表記を担っています。所属占い師が個別に表記する必要はありません
- ココナラなどのプラットフォームを利用している場合: プラットフォーム側が特商法の表記を代行しているケースが多いです。ただし、プラットフォームの規約を確認しておくことをおすすめします
- 知人からの紹介で個別に鑑定している場合: 不特定多数に向けた広告・募集をしていないため、通信販売には該当しません
特商法で表記すべき項目
自分のサイトやSNSで鑑定を募集する場合、以下の項目を明記する必要があります。
1. 事業者名(販売業者名)
個人事業主の場合は、あなたの本名(戸籍上の氏名)です。
ここが多くの占い師にとって最大のハードルです。鑑定名(芸名)で活動している場合、本名を公開したくないと感じるのは自然なことです。特に女性の占い師にとって、フルネームをインターネット上に公開することへの抵抗感は大きいでしょう。
ただし、法律上は本名の記載が求められます。この問題への対処法は、後ほど詳しく解説します。
2. 住所
事業所の住所です。自宅で活動している場合は、自宅住所を記載する必要があります。
これも事業者名と同様、公開に抵抗がある方が多いポイントです。
3. 電話番号
連絡先の電話番号です。携帯電話でも問題ありません。
4. 料金と支払い方法
鑑定の料金体系(1回○円、1分○円等)と、支払い方法(銀行振込・クレジットカード等)を明記します。
5. サービスの提供方法と提供時期
「電話で鑑定します」「メールで鑑定結果をお送りします」など、サービスの提供方法を記載します。予約制の場合は、予約から提供までの期間も記載が必要です。
6. キャンセル・返金ポリシー
キャンセルの条件や、返金の可否を明記します。占いの特性上、鑑定後の返金は難しいことが多いですが、その旨を事前に明記しておくことが大切です。
住所と本名を出したくない場合の対処法
「特商法の表記は必要だとわかった。でも、自宅住所と本名をネット上に出すのは嫌だ」— この悩みを持つ占い師は非常に多いです。
現実的な対処法を2つ紹介します。
バーチャルオフィスを利用する
バーチャルオフィスとは、住所だけを借りられるサービスです。月額数千円から利用でき、その住所を特商法の表記に使えます。
自宅住所を公開せずに、事業用の住所を持てるので、占い師に限らず個人事業主に広く利用されています。選ぶ際のポイントは以下の通りです。
- 法人登記にも使えるか: 将来的に法人化を視野に入れている場合は確認しておくと安心です
- 郵便物の転送サービスがあるか: お客様からの手紙やお礼の品が届くことがあります
- 住所が商業地にあるか: 住宅地のマンション名が表示されるバーチャルオフィスだと、かえって不自然に見えることがあります
法人を設立する
法人(合同会社・株式会社)を設立すれば、法人名と法人の所在地を特商法の表記に使えます。個人名を出す必要がなくなり、住所も法人の登記住所(バーチャルオフィスでも可)になります。
法人設立にはコストがかかりますが(合同会社で6〜10万円程度)、ある程度の売上が見込めるのであれば、税務上のメリットも含めて検討の価値があります。
法人化については占い師の開業ガイドでも触れています。
特商法の表記テンプレート
実際にどう書けばいいのか、テンプレートを用意しました。自分の情報に置き換えて使ってください。
【特定商取引法に基づく表記】
販売業者: (あなたの本名 または 法人名)
所在地: (事業所の住所 または バーチャルオフィスの住所)
電話番号: (連絡先電話番号)
メールアドレス: (連絡先メールアドレス)
サービス内容: 占い鑑定(対面 / 電話 / メール / チャット)
料金: (例: 30分 5,000円、延長10分ごとに1,500円)
支払い方法: (例: 銀行振込、クレジットカード決済)
支払い時期: (例: サービス提供前にお支払い)
サービス提供時期: (例: ご予約確定後、予約日時にサービスを提供いたします)
キャンセルについて: (例: 鑑定日の前日までにご連絡ください。
当日キャンセルの場合は料金の50%を申し受けます)
返金について: (例: 鑑定開始後の返金はお受けしておりません)
このテンプレートを自分のサイトの固定ページに設置すれば、基本的な対応は完了です。
特商法以外に知っておくべき法律
特商法だけではなく、占い師が意識すべき法律がいくつかあります。簡潔に触れておきます。
景品表示法(景表法)
「絶対に当たります」「100%的中」といった表現は、景表法に違反する可能性があります。占いの結果を保証するような表現は避けてください。「高い的中率」「満足度○%」といった表現も、アンケート結果等の客観的な根拠がなければ問題になり得ます。
個人情報保護法
お客様の生年月日・氏名・相談内容は個人情報です。取得する際の利用目的の明示、適切な管理、第三者への提供の制限など、個人情報保護法に基づいた対応が求められます。プライバシーポリシーをサイトに設置しておくことをおすすめします。
消費者契約法
お客様を不安にさせる方法で契約を迫る行為(不退去・困惑行為等)は、消費者契約法により取り消し対象になります。「今すぐ申し込まないと不幸になる」のような煽り方は、法的にも問題があります。
よくある質問
Q. 開業届を出していないのに特商法の表記は必要ですか?
特商法の表記義務は、開業届の有無とは無関係です。ネット上でサービスを販売している時点で、通信販売事業者として表記義務が発生します。なお、開業届は所得が発生した時点で提出するのが本来のルールです。
Q. 特商法に違反するとどうなりますか?
行政指導が入る可能性があります。悪質な場合は業務停止命令や罰金の対象になることもあります。ただし、個人の占い師が即座に罰則を受けるケースは稀で、まずは指導・是正勧告から始まるのが通常です。表記を整えておけば、そもそも問題になることはほぼありません。
Q. ココナラやSTORESで活動しているだけなら、自分のサイトに特商法ページは不要ですか?
プラットフォームのみで活動している場合は、プラットフォーム側が対応しているため、自分のサイトに別途設置する義務はありません。ただし、自分のサイトやSNSでも集客している場合は、そちらにも表記が必要です。
占い師として独立する全体像については、占い師になるにはで解説しています。開業の具体的な手続きは占い師の開業ガイドをご覧ください。
プロの占い師を目指す方へ。 五十六謀星もっちぃのLINE公式アカウントでは、占い師の世界の解説から人気占い師になるための方法まで、無料動画講座を配信しています。





