一電話占い師の日乗 2019年8月前半

 尊敬する私小説作家の日乗を真似て、電話占い師としての日々の生活を記します。通常業務の日は、朝の9時から13時まで電話占いで仕事をして、その後4時間の休憩を取って、17時から21時まで働いています。この日記は、その4時間の出来事と夜の慎ましやかな晩酌が主題です。

8月1日
 8時半起床。前日のコストコで重い荷物を持った影響で、肩が痛い。9時から13時まで電話占いの待機。4時間の中休みを無為に過ごして17時から仕事再開。先月から比較的好調な仕事ぶり。21時までの予定を30分延長して終了。晩酌はせず早々に就寝。

8月2日
 終日多忙。9時から13時、および17時から21時までの通常の仕事に加えて、昔なじみのお客様からの依頼で日本橋へ向かう。酷暑の影響か財布を忘れて取りに帰る。疲れ気味だったので、帰り道にラムネを一杯飲んで夏エネルギーを補充するも、かえって疲れた心地。午後は占い師オーディションの仕事が2件。そのほかは引き続き好調な仕事。

8月3日
 休日。終日無為。趣味のフライトシミュレータで遊ぶ。B737型機を、北海道の実家付近にある丘珠空港から釧路空港まで飛ばす。実際の旅客機と同じ操作性をほぼ完全に再現しているソフトで、パイロットになった気分で操縦を楽しむことができる。今回は自動操縦を使わずに巡航して無事に着陸。
 午後、電話占いサイト内の先月の集計が発表される。リピーターランキング2位を獲得。先月は1位だったのでランキングを落とした格好だが、口コミ数ランキングが5位になっていたので上々の結果。数日ぶりの晩酌時には気分よく暴飲暴食。手製のインドカレーとインド風チキン料理。

8月4日
 通常待機。割引のキャンペーンの対象に選ばれ、今日から一週間、鑑定料金が1分310円から280円になるというから10%割引に相当する。私のもらう鑑定報酬はもちろん据え置きなので、なんとも太っ腹なキャンペーンである。昼休みには航空機の操作マニュアルを読む。

8月5日
 通常待機。前半の待機で、やたらとお客様との会話が弾んだ結果、信じられないくらい疲弊。中休みに青空の立ち飲み屋で景気づけのビールを一つ飲むも、帰り道の酷暑で完全に蒸発する。アルコールの沸点は78。3度と習ったが、酷暑の東京ではそれ以下でも蒸発するらしい。

8月7日
 休日。終日読書。浅野八郎先生の著書『誰も知らない「運命」と「占い」の神秘』を再読。部分的な返し読みのつもりが面白すぎて止まらない。そのほか、小説をいくつか読む。読書のしすぎで頭が乾いたので、ハイボールを鯨飲。ソーダストリームのガスがなくなった。つまみは愛妻の野菜づくし手料理。

8月8日
 通常待機。オーディションなどもあり多忙。中休みは近所のリサイクルストアとブックオフを巡回。最近は休みの前の日と休みの日以外は飲酒を控えるようにしている。昨日の飲み過ぎの不調も残っていたが、今日は忙しかったことを理由に例外的に晩酌。妻手製の和風酢豚をアテに、通常の晩酌時は控える白米も摂取。

8月10日
 休日。南船橋のららぽーとへ。ヘルシー気取りの和風カフェランチの店に入るも、精一杯の反骨でミックスフライを注文。ご飯茶碗が小さいという反撃を被るも、妻が残したグラタンも完食。ディズニーストアとサンリオショップを念入りにチェック。夕刻、IKEAに移動すると、入り口前で魅惑の屋台を発見。青信号で歩き出すように生ビールを注文。ザリガニフェアをやっていたらしいが、気取ってクレイフィッシュと記載していたため、それとわからずスルー。つまみは辛いウィンナ。

8月12日
 通常待機。ネットニュースで、私の敬愛してやまない私小説作家、西村賢太氏の『一私小説書きの日乗』に関する記事を読む。当該作は氏の創作と飲酒の日々を綴った日記形式のエッセイで、今は「本の雑誌」に連載されている。その記事を読んでいるうちに、自分も「終日無為」の日々をどうしても記したくなり、恥も外面もなく一部の表現を借用してこの記事を書くことにした次第。慊りない退屈で哀れな日常を他人の表現を借りて記すことは、慊りない上にも慊りない、恥知らずな行いであることは自覚済み。

8月13日
 終日待機。後半の待機の前に、普段の倍くらいのお客様が並んでいることに気づく。今月の口コミランキングに入賞している鑑定士を対象にしてキャンペーンが打たれたらしい。詳しい内容は鑑定士にも知らされないが、前回の同一キャンペーンでは無料チケットが出た模様。新しいお客様にたくさん認知していただいたが、ドタキャンの人が多く鑑定時間はここ最近で一番悪かった。

8月14日
 近所のスポーツセンターの温水プールに行く。といっても、元来泳ぎとは付き合いがないので、水中で歩くというダイエット主婦じみた運動をするのが関の山である。それでもかなりの負荷があると見えて、十分におなかがすいた。家まで待てず、近くのファミレスでビールとウィンナーを誂え、おかわりには生搾りレモンサワー。いわゆるプラスマイナスゼロの格好だが、人生の基本はゼロサムである。帰り道に図書館に寄り、ずっと予約の順番待ちになっていたハイデガーの本を借りる。ハイデガーが予約待ちになるとは、頽落と空談を生業とする私にとっては嬉しいのか悲しいのか、いずれにしても「ダヴィンチ」で紹介された本は人気が出るのである。

8月15日
 通常待機。口コミランキングに続いて、リピーターランキングのキャンペーンがスタートする。いずれにしても空忙しいばかりで、落ち着いて仕事ができない心地。昼休みには気分転換に近所を散歩する。新刊本屋で芥川賞発表号の「文芸春秋九月号」を購入。この賞の発表号には、著者のインタビューに加えて選評が載っているため、芥川賞作品はすでに初出誌で読んでいた場合であっても本誌を架蔵している。
 晩餉、仕事が忙しく疲れたことを理由にして権利のない晩酌を要求。何かにつけて仕事の忙しさを理由にしてしまうのは、歔欷を覚えた子供がそれを乱用するような有様。

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