ロバート・B・チャルディーニ
ロバート・B・チャルディーニ氏は1945年4月27日生まれのアメリカの社会心理学者です。現在存命中の心理学者の中でも特に高名で、氏の名を冠した賞もあるほどです。
大ベストセラーとなった主著『影響力の武器』
チャルディーニ氏の大出世作は、1984年に刊行された『影響力の武器』という説得の仕方やマーケティング論について論じた書籍です。この本の中で、チャルディーニは世に名高い6つの原理を発表しました。これは全世界で3000万部も売れて、ニューヨークタイムズのベストセラーリストに記載されています。
オバマ大統領のエージェントに
バラクオバマ大統領が大統領選挙に出馬した際には、行動科学の学者団の一人としてオバマ大統領実現のためにその学識を生かしました。また、ヒラリー氏が大統領選に出馬した際にも、その書道のやり方をアドバイスしたそうです。まさに、名実ともにアメリカ随一の心理学者といえます。
占い師に役立つチャルディーニの心理的原理
チャルディーニ氏はその主著において、6つの心理的原理を説明しています。そして、2016年には7つめの原理も追加して発表しました。最も有名な社会的証明はもちろんのこと、これらはすべて今日の社会心理学の世界で非常に浸透した概念であるといえます。
返報性(Reciprocation)
一言で言えばギブアンドテイクの原理のことです。何かをしてもらったら何かをしてあげたくなるという心理を説明しています。例えば恋愛においては、優しくしてもらうことによって優しさを返してくれるという男女の心理にも適応できるでしょう。相手を変えるにはまず自分からという言葉の裏にある心理的原理といえます。
コミットメントと一貫性(Commitment and Consistency)
これは、行動に一貫性を持たせたくなる人間の心理を示しています。初志貫徹というようなよいニュアンスばかりではなく、例え間違いに気づいてもそれを訂正することができない心理も指します。占い師にとっては、恋愛において、別れたことを後悔していながらも簡単には復縁しようとしない心理の説明として使える原理です。
社会的証明(Social Proof)
他の人の行動や発言が正しく思える原理のことです。行列ができている占い師に並びたくなる心理もこの社会的証明の一つの例です。占い師としての現場では、仕事に関する占いで、同僚が退職するのを見て自分もやめたくなる状況や、友人が結婚していくのをきっかけに焦り出すことなどがこれに相当します。
権威性(Authority)
自分よりも高い知性や地位を持っている人の言うことは正しいのではないかと考える原理のことをいいます。占いの現場においては、お客様に何かを説明する場合に、占い師自身の意見としてだけではなく、有名な心理学者などの名前を出して説明することで、より高い説得力を得ることができます。例えば「あなたが彼に笑顔を向ければ、チャルディーニの返報性によって、彼も笑顔を向けてくれるようになります」という説明には権威性による説得力があるということです。
好意性(Liking)
好意を持つ相手からの問いかけにはYesといいたくなる原理のことです。これは返報性と関連した概念で、こちらから好意を示すために誘いをかけると、相手もだんだんと好意を示すようになって誘いが断られなくなるという帰結を招きます。まさに、押しの一手で恋愛がうまくいく可能性を示しています。
希少性(Scarcity)
人は、残りが少ないものや限定のもの、珍しいものにそれだけで価値を見いだしてしまうという原理です。例えば、待機時間が極端に短い占い師の予約枠に人気が集まりやすくなるのはまさにこの希少性です。恋愛においては、それ自体がが魅力的な要素であるかどうかは別として、「ガンダムが好きな女性」という希少な特徴を持っていることそのものが、魅力的に見える現象を説明しています。
統一の原理(Unity Principle)
チャルディーニが後で付け足した7つめの原理です。これは共通のアイデンティティを持つ集団の言葉はより信じやすいものであるという原理です。好意性の延長にあるような概念ですが、それ以上にマズローのいう所属欲求と近い感覚を持っているものであると解釈できます。例えば、家族が反対する恋愛には後ろ向きになってしまうのは、この原理による影響もあります。
より人間を理解した説明ができる占い師になる
これらの原理をは、いわれてみれば当たり前と思えることばかりかもしれません。しかし、これらの原理を常にまとめて頭に入れておくことによって、人を理解する説明が容易でわかりやすい物になるでしょう。むしろ、これらの原理をチャルディーニという偉大な学者に関連付けて覚えることそのものが「権威性」を使って強い説明をすることにつながるともいえるわけです。