占い師になるには、キャラクターを上手に演出することが必要不可欠です。全く個性がなければ、人の印象に残ることはできないかもしれません。逆に私が面接官としてお話しさせていただいた占い師様の中には、一生忘れられない程の深すぎる印象をお持ちの方も大勢いらっしゃいました。実際にお客様と向き合ってお話をする上で、どのあたりがちょうどよいところなのかを今回は考えてみたいと思います。
ほどよいキャラクターのコントロール方法
業界に2日以上いれば、占い師は誰もが濃密なキャラクターを持っていることにお気づきになるかと思います。自分の個性がどこにあるか見つけられないという相談を、個性的なお人柄の先生から投げかけていただくことがしばしばあります。しかし、キャラクターをあえて工夫することよりも、強すぎるキャラクターをコントロールすることの方が大切な場面がたくさんあるとも思います。
普通を意識して話すのがちょうどよい
ある意味占い師にとって大切なキャラクター演出とは、特殊な個性を示すことではなく、有り余るそれを抑えて話しやすい人と思わせることなのではないかと、私は考えています。もちろん、我慢して個性を隠す必要はありませんが、占い師の独自の世界にお客様がついてこれないことは、占い師が思っている以上に多いものです。
そもそもの話題が、占いによって未来を言い当てるという非日常の話題です。それをことさらに個性的な表現で演出しすぎたり、癖の強い話し方をしたりするのは、占い師とお客様の距離の元になってしまいます。なるべく誰が聞いてもわかるように普通を意識して話をすることがちょうどよいバランスなのかもしれません。
占い師の意見を抑えめにする意識を持つ
特に、占い師の意見を強く出しすぎないことは大切かもしれません。アドバイスとして必要な意見を出すことはよいのですが、占い師の持っている世界観とお客様の持っている世界観が同じとは限りません。例えば、絶対に不倫はだめだという信念をお客様にぶつけたとしても、理解してもらえない場合もあるでしょう。
自分の世界観を押し出すことは、個性の演出としての効果はありますし、記憶にも残りますが、お客様が疲れることにもつながってしまいます。不倫の相談をされているのに、1分につき12回「でも不倫だからうまくいきません。すぐにやめなさい」といったのでは、お客様が疲れてしまいます。お客様の求めている答えの方向性を理解しながら、自分の考えと異なる方向であっても、中立の視点で正しい答えを出すことはとても大切なことであるといましょう。
お客様は目立つ占い師を発見し普通の占い師を信じる
目立つ占い師でなければ、お客様の目にもとまりにくいのは確かであるといえます。あまりにも地味すぎて個性を示すことができていなければ、他の占い師にお客様をとられてしまうかもしれません。特に電話占いではその傾向が顕著であるといえましょう。
目立たなければ売れない、だけど大暴れは不要
タロットカードを使う占い師さんは、ものすごくたくさんいます。もしもプロフィールにタロットカードができることしか書かれていなければ、それだけでは少し寂しい印象があります。ほかの占い師と違う部分を示すと、その個性に興味を持ってくれるお客様は必ず現れます。
しかし、個性的であればよいというわけにもいきません。私が占い業界で最も尊敬する先輩占い師さんの一人が、明石家さんまさんのテレビ番組でさんまを囓りながら占いをする「さんま占い」という秘伝の大技をやってのけました。番組は大爆笑で、先生はますます高名になりましたが、残念ながら「さんま占い」をやってほしいという依頼はなかったそうです。
お客様の目に留まるほどよい個性の演出
お客様の目に留まるほどよい演出とは何でしょう。今回の話題は「個性の演出」ですから、もちろん、ここに単一の答えはありませんし、全員が目指すべき個性の見本は存在しません。ただし、占いのプロが個性を演出する上で、有利と思われる指針はあります。
それは占いの得意分野や知識における独自性を具体的に示すことです。占い師の本文たる占いの知識が優れていることや、一生懸命に研究していることそのものをキャラクター演出のキーにすることは、シンプルながら最適であると私は考えます。