占い師になるには、社会の様々なことに対しての知識や情報を持っていることが大切です。知識を直接占いの答えと絡めて使うことはなくとも、適切な占いをするための基礎的な常識として活躍することは大いにあります。今回のテーマは障害年金です。これは持って生まれた障害だけではなく、ケガや病気による障害もサポート対象としていることから、すべての人にとって関係する可能性を秘めている重要な社会システムであるといえましょう。
障害年金の基本的なシステム
障害を持ったら、何らかの給付金を得ることができるということは、なんとなく理解していても、それが具体的にどのような仕組みでどこからいくら出てくるのかは、あまり知られていません。まずはそうした障害年金の基礎的な仕組みから見ていきましょう。
受給資格
障害年金は、病気やケガによって、基準に定められた障害の状態になっている人に支払われるお金です。これは国庫から支払われるものではなく、国民年金や厚生年金による制度です。それ故に、年金に加入して保険料を納めている人でなければ障害年金を受け取ることはできません。ただし、20歳未満の場合は、そもそも年金を納める必要がありませんので、年金の納付は資格に含まれません。
障害の等級
普通の年金制度でいうところの老齢基礎年金に相当する、障害基礎年金には1級と2級があり、厚生年金加入者を対象にした障害厚生年金では1~3級の等級があります。これは重症度による差であり、極めてシンプルに丸めていえば、1級は日常生活ができず、常時他人の介助が必要な状態を指します。2級は、日常生活に著しい制限があり、働いてお金を得ることが困難な状況を指します。3級は、労働に著しい制限が加わる状況であることが要件のようです。これらの等級は、年金の支払いにおける独自の基準であり、いわゆる障害者手帳の等級とは根本のシステムから異なります。障害者手帳は年金とは別に申請する必要があります。
受け取る金額
障害基礎年金については、1級の場合は年間974,125円(月額81,177円)で、2級の場合は、年額で779,300円(月額64,941円)が支払われます。子供がいる場合には、1人につき224,300円が増額されます。ただし、3人目以降は1人につき74,800円です。厚生年金に加入している場合には、これに加えて報酬比例の年金が加算されます。なお、障害基礎年金では3級の支給がありませんが、厚生年金加入者は、報酬比例の年金を受け取ることができます。この際、最低金額として、年額584,500円が保証されます。
受給に関するルールあれこれ
障害年金の基本は、年金の納付要件を満たした人が障害を負ったときにもらえるということですが、下記のような様々な条件ではどうでしょう。占い師の仕事で実際に役立ちそうなシチュエーションについての条件を調べてみました。
働いていてももらえるのか
最近の時流は、高齢者も障害者も、皆働ける限り働いた方がいいという流れになっています。ですが、障害基礎年金のみの受給者は注意しなければなりません。2級の障害は労働でお金を得ることができない程度の障害であるという要件があるからです。特殊な仕事で障害があっても働ける場合などはよいかもしれませんが、場合によっては働ける程度に障害が改善したと見なされてしまうこともあるそうです。その場合は3級になってしまいますが、その場合は厚生年金加入者でなければ年金は支給されないのです。これはもちろんケースバイケースなので、占いとしては突っ込みにくいテーマですが、基本的な仕組みとして覚えておいて損はないでしょう。
故意に障害を負った場合はどうなるのか
これは悲しい話ではありますが、世の中には自ら故意に障害状態に陥り、障害年金を受給しようと考える人もいるそうです。しかしながら障害年金のシステムとしては、故意に障害を負った場合には年金を一切支給しないというルールがあります。それ故にわざと自分を傷つけて年金を受け取って生活をすることはできないのです。また、自分が起こした犯罪でケガをした場合や、医者の指示に従わずに症状が悪化した場合には一部の年金が支給されないことがあります。ただし、自殺を企て未遂に終わった結果、障害が残ってしまうったというような場合には、障害年金は全額支給されます。
自分でもできる? 申請の仕方
障害年金は、税金の還付金のように自動的に案内が来て支給されるということはありません。障害を負った際に、自分で申請をして受給する必要があるのです。最後にその方法を調べた結果をまとめます。
初診日を確定して診断書をもらう
申請の際の最初の課題は、初診日の確定です。これは、その障害の元となる正確な病名が出たタイミングではなく、最初に不調を訴えて診察を受けたタイミングであることがポイントです。障害年金は保険としての側面を持っているので、それが年金加入前なのか後なのかは重要な要件なのです。まずは初診日を確定して医師にその日に該当症状の受診があったことを証明する「受診状況等証明書」を書いてもらいましょう。
事後重症というシステムもある
ケガや重篤な病気などで、その障害がいつから起こったかが明瞭な場合はわかりやすいのですが、最初はたいしたことがなかった病気が、後に大きな問題になることもあります。そうした場合には、「事後重症」という、文字通り後で重症になったという形での申請を行うこともできます。この場合も初診日は、最初に小さな症状で受診した日となりますので、それを確定することが最初の課題となりましょう。
診断書や申立書を提出
初診日がわかったら、医師に診断書を書いてもらい、病気やけがの状況を具体的に証明します。そして、その診断書の内容と矛盾がないように、「病歴・就労状況等申立書」という書類を作成します。これは、病気がどんなで、就労がどれほど大変かを示す書類です。これを「年金請求書」や住民票などの書類とともに役所の年金課に届け出ることで申請できます。
わからないときは社労士に相談
これら一連の手続きは自分で行うこともできるものですが、障害年金の特性上、こうした作業を本人が行うことが難しい場合もあります。そうした場合に頼るべき専門家は社会保険労務士です。もちろん弁護士でもよいのですが、専門家である社労士の方が手堅い場合が多いです。
社労士に代理を頼めば、診断書を依頼する際に、その内容についてプロの目線で医師に提案することもできますし、申し立ての内容もしっかりと考えてくれます。報酬は成功報酬の場合も多く、実際に申請が通った場合のみ、受け取る年金から料金を支払うという形もありますので、手元に現金がない場合でも依頼しやすいシステムになっています。