今回のテーマは保険の外交員のお仕事です。占いのお客様の中にも、かなり多くの保険外交員の方がいらっしゃるでしょう。占いの古書には、景気のよかった時代の保険業界では、外交員の慰安のために占い師を呼んでイベントを行っていた会社もあると書かれています。占い師になるには、お客様理解は大切なことですので、今回はそういった目線でまとめてみます。
保険外交員の世界
保険外交員というのはずいぶんと硬い表現ですが、女性の場合はいわゆる生保レディと呼ばれる仕事のことです。かつては様々な会社のオフィスに自由に出入りをして、ゆっくり人間関係を構築する営業が主流だったそうですが、情報機器の発達によりオフィスへの出入りの制限が強くなり、従来の方法での営業が困難になっているそうです。USB一つで大量の機密情報が持ち出せる現代にあっては、外部の人間がオフィスに長居することは歓迎されないのです。また、保険ショップが台頭して以来、業界のあり方は変化を余儀なくされて、保険外交員の仕事は大変さを増している状況です。
具体的な業務内容
保険外交員のメインの業務は、何と言っても保険に加入したい人を探して、契約を取ることです。これが最も大切な仕事であることは説明の必要がないでしょう。見込み客のアポを取って、お客様の生活サイクルに合わせた保険の提案を行い、契約を勝ち取ることができれば評価が上がり、報酬が増加します。そのために、ポスティングを行って存在を知らしめることや、すでに契約済みの人とのコミュニケーションを通じて、新たな商品の販路を探るアフターフォローを行うことで、末永く成果を上げ続けていくのです。
資格習得方法と期間について
保険外交員になるための資格としては、業界の統一試験である「生命保険一般過程試験」に合格する必要があります。これは国家資格ではありませんが、日本で活動するすべての生命保険会社が加盟している生命保険協会という組織が運営する試験です。この試験に合格して金融庁の生命保険募集人リストに登録することが法律で義務づけられています。
この試験は、生命保険に関する基礎知識や、コンプライアンスに関する知識を問うものです。それほど難しい試験ではなく、ほとんどの人が合格するそうです。正答率7割が合格ラインとされていますが、15時間ほど本気で勉強すれば、満点を取ることも可能です。
また、同協会では、最初に誰もが受ける「一般課程」の他に、上級資格として「専門課程」「応用課程」「大学課程」 を用意しています。外交員としてのキャリアアップを目指す場合は、これらの試験に次々と合格していくことが求められます。
占い師目線のチェックポイント
保険外交員のお仕事について、その実態や状況を詳しく理解しておくことも、占い師になるには重要な知識であるといえます。お客様理解という視点で、役立ちそうなポイントを紹介します。
外交員は社員ではない
保険の外交員は、保険会社や代理店に所属はしていますが、その雇用形態は社員ではなく、我々占い師と同様に個人事業主である場合がほとんどです。外交員の雇用スタイルは会社や人によってまちまちで、一概には言えませんが、所得は給与所得ではなく事業所得であり、確定申告を行う必要がある場合もあるのです。それ故に、成績がよければ報酬は青天井に伸びていくのですが、そうでない場合にはかなり低い基本給しか受け取ることができない場合があります。基本給が著しく低いという話を聞くことがあるかもしれませんが、これはこの業界では一般的ですので、状況判断を急がないようにするべきといえましょう。
離職率の高い厳しい仕事
この職種の最大のデメリットといいましょうか、恐怖のポイントとしては、ノルマの苛烈さがよく知られています。世間的にも生保レディ=ノルマというイメージが強く存在していることと思います。実際、ノルマは存在しますし、その達成難易度は決して低くない位置に設定されます。そのノルマの高さ故に、精神的に追い詰められて離職をする人も多く、生保の外交員は9割が2年以内に離職してしまうというデータもあります。しかしながら逆に言えば、それだけの成果を上げることができない人は、歩合制の報酬も低くなるわけですから、営業成績を十分に上げることができない人には、そもそも向いていない仕事であるといわざるを得ません。
ほとんどは紹介による就職
この業界の特筆するべき特徴の一つは、業界に新規に参入する人のほとんどは、既存の保険外交員からの紹介による参加であるという点です。先述した離職率の高さからもわかるとおり、会社は常に外交員の不足に悩まされています。それを埋めるべく、既存の外交員の人脈を通じて新人を発掘するという慣例が生まれているのです。会社によっては、新人を勧誘することも業務の一環としてノルマになっている場合もあるそうです。
時間の自由がききやすい仕事
収入だけではなく、待遇においてもメリットがあります。社員として会社に拘束されるわけではないため、育児や介護など、家庭と仕事の両立を図りやすいという点も、この業界で働くことの大きなメリットです。労働時間が厳密に決まっているわけではないので、個人の都合に合わせて、自分のペースで仕事をすることができます。ただし、人と会うことが仕事であるため、お客様の都合によっては土日や夜の時間に仕事をしなければならないこともあります。
保険外交員の収入
このように、苦労の多い大変な職種ではありますが、それでも保険外交員になろうとする人が後を絶たないのは、やはり高収入が期待できるからです。この職種の報酬は、個人の能力によるところがあ大きいので、平均に意味はありません。頑張っている人は年収で一千万を超えることがありますが、成果が上がらない人はそれこそ手取り13万円ということもあります。
まとめ
保険外交員は、営業力があって人の心をつかむことができる人にとっては転職といえましょう。学歴や職歴に関係なく活動でき、シングルマザーであっても、ゆとりのある生活を送ることができる数少ない職種の一つです。しかし、この職種に適性のない人からすれば実に大変なお仕事です。世間の評価に流されず、適性の有無を正確に見極めることが大切です。