占いをする上で、各種職業に関する知識が必要になる場面は珍しくありません。例えば、事情があって2年で何かの資格を取って仕事をしたいと考えている人がいたとして、その人に准看護師の資格は勧めて良いのでしょうか。こういった事前知識は占いの精度に影響する場合もあります。このシリーズでは占いに役立つという観点でいろいろな職業を紹介していきたいと思います。
今回のテーマはエステティシャンのお仕事です。女性にとって憧れの仕事とされやすいこのお仕事について、占い師に役立つ情報としてまとめていきたいと思います。占い師になるには、エステティシャンのお仕事について理解していることがきっとプラスになるでしょう。
エステティシャンの世界
エステティシャンというお仕事は、具体的にどのようなお仕事なのか、実は明確には定義されていません。しかし、一般的には、人の美容に関する総合的なケアを行い、全身の美を追究するプロフェッショナルであるとされています。なお、エステティシャンという言葉は英語圏では意味が異なり、主として「美の本質を追究する哲学者」を指すそうです。日本のエステティシャンに相当する仕事は、英語では”beauty treatment technician”と表現されます。
具体的な仕事内容
エステティシャンは通常、エステティックサロンと呼ばれる店舗に所属して働きます。そうした店舗には、美しくなりたいと願う女性が来訪しますが、エステティシャンのお仕事はまず、様々な美に関する悩みを聞き取り、金属アレルギーなどの問題を理解するカウンセリングと呼ばれる業務から始まります。そうした施術の具体的な計画を立ててから実際に施術を行うわけです。
施術が完了した後は、アフターフォローを行い、次回以降のリピートにつなげるための接客を丹念に行います。また女性利用者にとっては、エステが美の追究のための場だけではなく、心の癒やしを求める場になっていることもありますので、それを意識した接客が求められることもあります。
男性をターゲットにしたメンズエステと呼ばれる業態もありますが、これは場合によっては似て非なる職業である可能性があります。真面目に男性の美を追究するサロンも存在していますが、真面目な店ばかりではない可能性があります。女性よりも男性から好かれやすい人だからという理由でメンズエステでの就業をお勧めする際には十分な注意が必要です。
資格習得方法と期間について
現在、エステティシャンになるための国家資格や公的な資格は存在しません。免許制度なども存在しませんので、誰でも自由にエステティシャンを名乗って就業することができます。
そうはいっても、実際にいきなり自分でエステサロンを開業する人はまずいません。どこかの店に所属して、技術を学んでから独立するのが一般的です。その際、店に就業してエステティシャンになるには、民間資格を取得しておくと有利になる可能性があります。現在の日本では、「日本エステティック協会」と「日本エステティック業協会(AEA)」という二つの有力な業界団体があり、それぞれの協会が「認定エステティシャン」の資格を発行しています。
日本エステティック協会が認定する資格の場合は、300時間の授業を受けるか、3年以上の実務経験を持っている人に受験資格が与えられます。こうした資格を習得するために学校に通うことがエステティシャンを目指す上でもっとも有利なコースであるといえます。こうした学校には大学に通いながらでも受講することができるコースもあります。
占い師目線のチェックポイント
エステティシャンのお仕事に関連する占いをする上での、占い師目線のチェックポイントを考察します。
理不尽なクレームが起こることもある
女性にとって美とはとても重要なもので、顔は女の命といいますが、女性の中には命よりも顔を大切にする人がいるそうで、不幸にも自ら命を絶つときですら、顔に傷がつかないように気をつける傾向が男性と比較して圧倒的に多いそうです。その美を預かる仕事ですから、効果のあるなしに関してのお客様の目線は非常に厳しいものになります。中には理不尽としか言いようがないクレームをつけるお客様もいるそうで、そういった人に対しての対応力を持つこともエステティシャンのお仕事を続ける上では大切です。
エステティシャンに向いているのはどんな人か
エステティシャンになるために必要な第一条件は、美に関する高い意識を持っていることです。美容の業界は日々新しい技術や流行が生まれ、知識の陳腐化が早い業界であるといえます。その新しい技術を追求して理解するためには、職業としてのモチベーションだけではなく、好きだと思う気持ちが必要不可欠なのです。さらにいえば、エステティシャン自身が美しくあることも大切です。顔立ちの善し悪しはともかくとして、スタイルと肌は最高の状態であることが、自分自身の技術の確かさを示す指標となるでしょう。また、体力もそれなりに求められる傾向があります。
コミュニケーション力も大切
エステのお客様が心の癒やしを求める以上、エステティシャンのコミュニケーションがまずいことは問題です。基本的には話上手であることではなく、聞き上手であることが求められる傾向が強くあります。「リラックスしたいのに話しかけられてうるさかった」というようなクレームが出ることも多いそうです。ただし、サロンによってはお客様に対して最新の施術をおすすめする営業のような会話を要求されることもあります。将来的に独立する可能性を考えても、話す力だってあるに越したことはないといえましょう。
年収や給与形態はどうなっているか
エステの業界は、同僚もお客様も女性に囲まれた世界です。それ故に、余計なことをいわない方が無難であるという考えが強く、特に収入に関することはあまり口にしないのが一般的です。収入の差が生じていた場合に、それが余計なトラブルの引き金になり安い業界なのだそうです。
「キャリア・ガーデン」さんの情報によれば、月収は18万円〜22万円あたりが大体の相場で、30歳前後で300万円〜400万円の年収になるのが平均的なエステティシャンの収入だそうです。高度な知識と技術の必要な専門性の高い分野であるとこを鑑みると、これは少し控えめな数字と捉えるべきかもしれません。ヨーロッパなどでは、医療に準ずる行為としてエステティシャンの国家資格が制定されて、さらに高収入な職業として浸透しているようです。
独立開業の方法や費用
エステティシャンとしてのお仕事である程度お客様をつかむ方法がわかってきたら、独立したいと考える人が多いのもエステティシャンの世界の特徴です。そんなときに、店舗を構えるという戦略もありますが、一番簡単なのは自宅にサロンを設置することです。それだと、家賃などの費用を大幅に抑えることができるので、かなり効率的であるといえましょう。
自宅をサロンにするにしても新たに店舗を借りるにしても、必要な経費として、まずはエステの機械一式をそろえるお金が必要です。どんな機械を入れるかにもよりますが、20万円から50万円ほどは必要になるでしょう。また、内装費用もそれなりにかかります。エステというサービスの特性上、あまり貧乏くさいものを使うわけにはいきませんので、これにも30万円から50万円はかかるでしょう。また、広告費につきましても、SNSでの集客を中心に考えても、やはり初期のキャンペーン費用として30万円は見ておくべきです。消耗品の費用などを入れると、自宅開業の場合であっても最低100万円は必要になるでしょう。
まとめ
女性の憧れる美を追究する職人であるエステティシャンというお仕事はとても華やかであると同時に体力的には負担のある仕事です。独立しやすいことはかなり有利な要素であるといえましょうが、日本においては、その専門性と収入が見合っていない恐れがあると思います。こうしたデータを一応頭に入れた上で、最後には自分自身の占いを信じることが、当たる占い師になるには必要なことであるように思います。