占いには流行があります。占術にしても、姓名判断や九星気学が流行した時代もありましたが、最近ではルノルマンカードが大流行しています。途中に六星占術が挟まったりもしたわけです。そして占いが伝えるメッセージのスタイルにも時代に合わせた変化があります。かつては予言として未来を伝えることに主眼が置かれた占いも、今日ではカウンセリングの要素を持つようになりました。時代の様相を理解することと占いの関係について考えてみましょう。
時代の変遷と占術のバイアス
時代が変われば人々の考え方も価値観も変化していきます。占いが伝えるのは本質的には未来のことではありますが、現状を正しく理解して伝えることも、占い師の大切な仕事です。現状を理解するための占いにおいて、時代ごとのバイアス(標準からどれだけずれているか)を理解することはとても大切な意味を持ちます。
占術が生まれた時代のスタンダードとの違いを吸収
時代の流れとともに、少しずつではあるにせよ人々の価値観は変遷しています。占星術で性格を占うという概念が成立した時代に想定されていた獅子の力強さと、今日の獅子が喚起する力強さのイメージは同じではないはずです。乙女の口うるささも、魚の謎っぷりも、ことごとく同時代のスタンダードと比較して考えるべきことであるはずです。時代の感覚を理解することによって、古い時代に生まれた占術の言葉を、新しい世代の人々に対応させて翻案することができるわけです。
恋愛スタイルは時代を映す鏡
就中、人々の恋愛に関する考え方は時代の影響を受けやすいものです。結婚の価値観もそうですが、日常生活の中での恋愛の立ち位置や恋に求めるものなど、すべてが時代の流れの中で変化しています。人々の結婚願望が薄くなって、結婚するのが当たり前という時代が過ぎ去ったのは非常に有名なことですが、それだけではありません。クリスマスよりもハロウィーンを重視する若者が増えているというのも、実は恋愛スタイルの変遷と関連しています。こうした時代的なバイアスをしっかり理解することも、適切な占いをするためには必要なことです。
恋愛結婚だけではない! 占いの答えは時代に合わせて理解するべき
恋愛と結婚のことは、特に時代の影響を受けやすく、占いのお仕事に直接の影響を与える分野ですが、他の分野も時代の影響を受けます。お仕事に関する考え方も、時代の実情を踏まえて変化しています。大企業や霞が関への就職を目指すことが、かつてはインテリの主流なゴールでしたが、最近では自分自身の力でお金を稼ぐことの価値が高まっています。テクノロジーの進化が古い仕事を人間から奪い去り、そしてテクノロジーが可能にした新しい働き方に人々が流れていこうとしている中で、占いの判断の根底が古いようでは対応しきれません。
新しい仕事と占いの要素を関連付けることも、常に頭を巡らせるべきテーマの一つです。例えば、土地とのつながりという意味を重視して、農業従事者を牡牛と関連付ける考え方がありますが、水耕栽培の工場でレタスを作る会社を経営することも牡牛なのでしょうか。
占い師が時代の変遷を知ることの意味
占い師が時代を理解することはとても大切なことです。今度はもう少し実践的な場面で占い師と時代の付き合い方を考えてみます。
占いの流行や方式も変化する
占術にも流行があり、いろいろと変化しているのは前提として、実は占いを伝えるコミュニケーションや、より具体的な占技に関しても時代に合わせて変化します。鑑定の結論だけを伝える占いはだんだんと姿を消し、コミュニケーションの中で問題を発見して、より具体的な占いをする占い師が大部分を占めるようになりました。また、昭和の占いには、住居に関する運の善し悪しを占う方法がたくさんありますが、住宅事情がよくなった現代では、一般的に扱いにくい占いになりつつあるように思います。
若者を知ることは年長者を占うために役立つ
若い世代の特性を知っていることは、若者を占うときよりも年長者を占うときに役立ちます。若者の時代感覚は、若者にとっては知っていて当たり前のことです。そしてもし仮に時代錯誤な感覚の占いを伝えたとしても、若いお客様はそれを自分の感覚に変換して理解することができるものです。年長者にとっては、若者の価値観を理解した話は、占いとしての価値だけではなく、時代を理解するアンテナとしても役に立つわけです。特に年下の男性と恋愛をしている女性に対しては、非常に効力を発揮します。バブル世代の感覚と今の男子の感覚の違いに立脚してカードを解釈することで、とても役に立つ情報を提供することができるのです。
情報の価値は新鮮さから計る時代
それが正しいかどうかは別として、今は新しい情報が次々と簡単に手に入る時代です。そんな現代において、情報が古くさければ、その情報の信憑性が疑われるという状況はしばしば見受けられます。例えば、「出し巻卵のおいしい作り方」のように、今後三万年変わらないような情報であっても、古いレシピでは上手に作れないような気がしてしまうものです。
実は占いにおいても、そのような現象が起こることがあるのではないかと危惧しています。つまり、同じように当たっている占いであっても、伝える表現や例示が古ければ、信憑性が下がってしまうことがあるのではないかということです。うっかり「僕は死にましぇん!」などといってしまえば、その占い自体が古い価値観に基づいた時代錯誤なものなのではないかと思われてしまっても仕方がないのです。かといって、いい大人が若者の漫画から言葉を引用するようでもみっともないので、古い表現を避けつつ年齢相応な落ち着きを持った話を選ぶのが理想であると思います。
まとめ
新しい時代の情報や価値観をといりれることで、占いそのものの精度を上げることができるのはもちろんのこと、サービスの全体的なクオリティは上昇します。SNSを通じて自分より若い世代の考えていることや悩んでいることにアンテナを広げていくことは大切であるといえましょう。
拙著のご案内
同文舘出版より、私の著書『1日2時間で月10万円 はじめよう 電話占い師』が発売されました。
延べ5万人を占った現役占い師にして、400件の占い師採用試験の実技審査を担当した著者が、占いをお仕事にする方法や、勉強の仕方、そして占い師というお仕事の世界を詳しく解説したビジネス書です。amazonで立ち読みできます。
これから占いを始める人にとってはもちろん、すでに占いの現場にいる人にとっても、極めて役立つ電話占いの情報や、占いのお客様との具体的な関係構築など、精神論以外のロジカルな部分も含めて、深く切り込んだ情報を惜しみなく書き込みました。弁護士監修の占い師と法律の知識など、他では見られない情報が満載です。
全国の書店や各種オンライン書店、amazon様にて好評発売中です!