英語圏の人々は、子供の生まれた曜日が話題に上ると、しばしばマザーグースの歌の一つを思い出すそうです。私は遠い昔、『天才柳沢教授の生活』という漫画で、この歌の存在を知りました。生まれた曜日と子供の特徴を結びつけるという考えは、非常に原始的ながら占いの感覚に近いものがあると思い、今回、いろいろと調べてまとめてみました。なお、ページ下部には曜日を簡単に計算できるフォームを設置しています。
マザーグースの歌と曜日について
皆さんは、マザーグースの歌というものを聞いたことがあるでしょうか。マザーグースとは「ガチョウ婆さん」という意味ですが、その名前は知らなくても、いくつかの歌はきっと聴いたことがあるはずです。
英語圏の伝承の童謡コレクション
「ロンドン橋落ちた」や「きらきら星」などは、マザーグースの歌の代表的なレパートリーです。マザーグースの歌とは主としてイギリスで発祥した童謡のコレクションです。その曲目は１０００を超えていて、世界中で翻訳して楽しまれています。これらの歌は子供の教育のために用いられることを目的としていることもあり、中にはグリム童話に見られるような残虐な歌詞のものも存在しています。
「月曜日に生まれた子は美しい」原詩と訳詩
さて、今回のテーマとなるのは、そのマザーグースの歌の中の一つ、「月曜日に生まれた子は美しい」という歌です。以下がその英語での原詩です。
Monday’s Child is Fair of Face
https://www.mamalisa.com/?t=es&p=1354
Nursery Rhyme
Monday’s child is fair of face,
Tuesday’s child is full of grace,
Wednesday’s child is full of woe,
Thursday’s child has far to go.
Friday’s child is loving and giving,
Saturday’s child works hard for a living,
And the child that is born on the Sabbath Day,
Is bonny and blithe and good and gay.
本文を翻訳すると下記の通りです。
月曜日生まれの子は美しい顔
火曜日生まれの子はとっても優雅
水曜日生まれの子は悲しみいっぱい
木曜日生まれの子は遠くに行く
金曜日生まれの子は愛に恵まれる
土曜日生まれの子は生きるために一生懸命働く
そして、安息日に生まれた子供は、美しく陽気で楽しい良い子
曜日ごとの格差
生まれた曜日ごとに、シンプルに子供の性格や人生を予言するというのは、ずいぶんとシンプルかつ行き過ぎた話であるように思います。しかし、伝統的な占いにおいても、このようにシンプルな要素だけで何かを判断することは少しはあります。例えば、占星術における月の星座で１２種類の性格を予言する方法も、ある意味これに近いとはいえます。
こういったシンプルな要素での占いの場合、それぞれ一長一短で、要素ごとの格差があまり生じないのが普通です。古典時代は別として、今日では１２星座にも十干十二支にも、決定的な吉凶の格差はありません。それに対して、マザーグースの歌の曜日占いは、曜日ごとの性格に大吉から凶までの強い格差があるといえます。まれに、丙午などといった占いの要素が差別につながる可能性に言及されることがありますが、このマザーグースの歌詞は、差別の元と言っても過言ではありません。
キリスト教の価値観が出ている
実は、この曜日ごとの特性には、キリスト教の価値観が色濃く反映されています。原詩では、日曜日は安息日と表現されています。そして、キリスト教徒にとっての大切な安息日である日曜日に生まれた子供には、とてもよい意味が与えられています。逆に、懺悔の日である水瓶日に生まれた子供には「悲しみいっぱい」という衝撃的な性格が関連付けられているわけです。
曜日による占い
マザーグースの歌は元々はただの童謡であって、予言者の言葉でも何でもありません。しかし、このような古くからある詩文にあるメッセージは、時として占いのように判断されることがあります。現に英米では、自分の誕生曜日とこの性格の関連を信じている人が少なからずいるそうです。
曜日占いは当たるのか
マザーグースの曜日の歌を占いと捉えるべきかどうかは別として、誕生曜日での占いは当たるのでしょうか。例えば筆者は月曜日の生まれです。トップページに戻り、是非私の美しい顔の写真を見てください。
誕生曜日という７つの要素だけでの占いには、少なからぬ無理が生じるものと思います。血液型による性格診断は４つのパターンですが、そういったシンプルな分類をする場合には、往々にして説明文がありきたりで、誰にでも当てはまるような文章になってしまいます。それでは占いとしての面白みはありません。
東南アジアの曜日占い
タイやミャンマーなどといった東南アジアの国々では、曜日占いが広く愛されているそうです。宗教的なものとの関連性もあるようで、特にミャンマーの人は、人が生まれた曜日をとても重視するそうです。東南アジアの曜日占いは、７つの曜日ではなく、水曜日を午前と午後に分けた８種類の曜日で占うという特徴があります。これについては、関連書籍を調べて、いつの日か詳しいブログを書きたいと思います。
曜日の計算
次のテキストボックスに、生年月日を８桁で入力すると、生まれた日の曜日を計算できます。
例：1980年5月2日＞19800502
