手塚治虫のホロスコープ解読

今日のターゲットは手塚治虫氏です。最近また手塚熱が呼び起こされてきたのです。自伝によると、氏は占いが大好きだったそうです。代表作『火の鳥』では、 占いで政治を行う為政者をこき下ろしていましたが、本人は大道易者をよく利用していたようで、占星術もやったことがあるとのこと。これは僕の出番です。天 国の手塚氏に占いを届けようではないかと思うわけです。テーマは「手塚治虫と政治」です。

ちなみに今日も、どっぷりと専門的な事を書きます。あくまでも占星術を愛する同好の士の目に止まることを目的に書きます。ちなみに、普段占いをするときに は、ここまで訳のわからないことは言わないのでご安心ください。お客様に話すときには解りやすく、同業者に対しては解りにくくが僕のモットーです(笑)

ⅰ)データ確認
 生年月日は1928年11月3日で、豊中市生まれとのこと。出生年は諸説あるのですが、本人が生前に1928年生まれだと公言していますので間違いないでしょう。出生時刻は、ネットで調べた情報によると午前一時らしいです。そもそものソースは不明ながら、プラシーダスの所見に違和感が無いので採用しました。占星術の徒としてあるまじき事ですが許してください。さすがに出生時1時ぴったりとは思えないので、厳密な度数域を使用する計算では、アングルを抜かして考えることにします。月の度数は蟹座15°13′を採用します。ハウスはプラシーダス、オーブはネイタル5、調波1です。全てをStargazerの最新のエフェメリスで計算しています。
 
 さぁ。途方もない長文の土台が作られました。鑑定中は早口なのであっさり目に聞こえるかもしれませんが、占いに関することには多弁です。たくさん言いたいことがあります。文章では早口も何もないので、唯々長くなります。

ⅱ)ネイタルチャート
 はっきり言えば一見して特徴のないチャートです。もっとも、細かいところには特徴がありますので、話すことに困るような チャートではありません。エレメントバランスは風が少ないくらいで、特別な配置とは言えません。自分の過去を覆すことに対しての恐怖と読んでみました。 クォリティはやや活動的です。さて、以下は少しだけ細かい解読です。

a)月
 Cancerの オーバーロードには充分な見所があります。古典とは違う組み合わせですが、月に対して一種のビシージュがあります。ドミサイルとミューチャルレセプション をもっていながらも、この位置では月が働ききることはなさそうです。ハウス状況から、家庭内の事よりも自分が決めた身内である仲間達との関係性を大切にす る人であったことが予測されます。精神の安定感はなさそうです。これは、後に解読する調波チャートでも確認できます。

b)アセンダント
 先述の通り、アングルは度数を信用しませんが、海王星が上昇しているチャートであることは確からしいのでそのまま読みます。もちろん1時前後の生まれな らですが。海王星の象意から、ロマンと夢に対する才能が感じられます。人々が理解できないものを操る才能に関しても充分なものがあったようです。この表示 が、僕の見立てではチャートの焦点ですが、成人後の運勢を見るのにアセンダントを採用するのは筋が悪い気がしていやです。アセンダントを重視することはア ランレオも否定しています。これは、氏が幼少期に体験した夢の世界である映画を表示しているものと思います。戦中に子ども達の少ない映画館で映画を鑑賞し ていた事が、後の創作活動の原動力になっていたという事実が表示されているわけです。

c)太陽とキロンのタイトなオポジション
 これはマザーテレサのホロスコープにも見られるアスペクトです。彼女の場合は、ジュノーとパラスが強調しているので強力に現 れていますが、二人の性質に何かしらの共通点があるのかもしれません。感受点としてのキロンの意味は専門医療や占星術そのもの、もしくは自ら傷を負いなが ら他者を助けるなどがあります。手塚氏は医師免許を持っていますし、代表作の一つブラックジャックは医師の代名詞でもあるくらいなので、医療の表示として 捉えるのが的確なのだと思いますが、タイトなオポジションであることを考慮すると少し複雑になります。

これ以外にもたくさん書くことはあるのですが、お腹の空きと時間の都合が不味くなってきたので、本題に移ります。

ⅱ)海王星分割調波
 手塚氏のネイタルチャートは偉人らしさをあまり反映していないと思います。こんな事をいったら、自称古典派のプライドが悲鳴 を上げますが、これを見て偉人らしいチャートだと言ったら嘘吐きです。そもそも偉人らしいチャートなどと言う概念が存在するのかという根本的疑問もありま す。それでも何か特徴を見つけたと思うとき、頼りになる技法は、やはり大師匠の作った分割調波です。時間がかかりすぎるという致命的な欠点がありますが、 対面鑑定でも特別な事象を扱うときには参照します。
 芸術家の表示は海王星の分割図に現れると言われています。マンガ家を見るならまずはここだと予測して計算を開始しました。今回は石川先生が扱う感受点から時間に敏感なAsc,MC,Ep,Vtを除いた16個を使用します。以下この章においては、特に断りがない限り感受点名は全て海王星分割における感受点を示します。

d)クォリティの確認。
 分割調波におけるクォリティは、古典的なサイン基準での区分とは違います。私も所属する英国占星術協会の設立者の一人であるアディーの発案した、調波チャートにおけるクォリティを採用します。本来はCFMの三区分と呼ばれますが、この方式ではいずれにも属さない感受点が出てきます。ここではNと書きます。
手塚氏の海王星分割のクォリティはC4/F3/M5/N4となります。
ここで、全円360度の内120度がNの領域で、残りの240度をCFMが等分するので、バランスを考慮するときにはCFMの三つを1.5倍する必要があります。
そうするとC6/F4.5/M7.5/N4になり、CFMの全てが理論上の期待値(16×80÷360=3.55)より多く、かつ明らかにNが少なくMが 多いチャートと解ります。これは研究熱心でサボることが出来なかったことを示します。海外の文学作品の表題をモチーフにした作品作りや、ディズニー映画に 対する深い研究もこの筋です。ちなみに多作で有名なピカソもMが多いことから、作品の多さを示すものとして海王星分割のMを考える事が出来るかもしれません。これはもう少し研究したいと思います。少なくとも作品作りに対して真摯な態度をもっている作家であることは確かです。

e)度数域
 分割調波における特別な度数域があります。月とパラスの二つです。理論上の期待値は4個位なので、少し少なめです。パラスはGeminiの8°55′で幸福の度数です。これはシンプルに氏が芸術を愛し、そこから幸福を感じていたことを示します。そして月がLeoの29°23′で不安定の度数 になります。分割調波における月は弱点や健康を表します。周知の通り早世であることや、アニメの制作時には精神の不調を起こして仕事を部下に任せなければ ならなかった時期もあることなどから、手塚氏は体調面で苦労している節がありますし、これも表示の一つです。

f)アスペクト

セクスタイルを除いたメジャーアスペクト数は3個。これはオーブ1度での計算上の期待値(16×15×6×1÷360=4)よりわずかながら少なく、むしろ芸術活動に関しての若干の否定ですらあります。内訳はトライン、スクエア、オポジションがそれぞれ一つずつです。ここで注目するべきなのは、水星と木星のオーブ4分の極めてタイト なトラインです。意味合いとしては芸術感覚が広がっていくようなイメージです。色々なものに興味を持ったことは、ここに表示されていると言えます。そして その木星に対して、火星がスクエアを作るわけですが、これがどういう妨害なのかは解りません。マレフィックですが、火星は切り込むような性質がありますの で、怪我の表示と考えるのが筋です。しかし、手塚氏が大怪我をした話は自伝を一読した限りでは出てきませんでした。

g)待ちの法則
そして、もうひとつ重要な事として、分割調波チャートにトラインがあると言うことは、待ちの度数があると言うことです。その度数はVirgoの19°20′からプラスマイナス1度です。色々な調波を探してみると、果たしてありました。しかも、太陽分割の月、水星分割の冥王星、土星分割の火星の順に3つもあるのです。待ちの度数が一つの分割図に現れる確立は4.4%(1×16÷360)なので、これは特 異なことです。土星分割の火星は、海王星分割の火星による木星に対してのスクエアを中和するような働きをすることでしょう。水星分割の冥王星が死後に名を 残すのに役立ちます。そして、太陽分割の月は政治的な弱点を表します。手塚氏と政治についてあまり多くは語られておりませんが、『赤旗』の熱心な読者だっ たそうです。共産主義は言うまでも無く政治思想の一つですから、これは太陽分割のマターです。これについては、太陽分割を見ながら検討していきます。ちな みに、このブログでは書きませんが、太陽分割のチャートにも少なからず特徴があります。

h)海王星分割の総括
 このチャートには二つの大きな特徴があり、非常にはっきりと手塚氏の活動の偉大さと特異性を示すものであったと考えられます。一つは、d)で述べたCFMの過剰です。これははっきりと芸術的な活動に意欲を持っていたことを示すものとして充分な意味と特異性があると考えられます。

そしてもうひとつが、g)で述べた3つの待ちの天体は運命の叙述以外では考えられないような作られ方です。

こ れらを元に、手塚氏が芸術家として天才であったと論じることが出来るでしょうか。少なくとも、氏の創作活動の根底には芸術に対する憧憬と積極性があったこ とは認められます。しかし、手塚治虫氏の創作活動は西洋的な視点での芸術と同一視することは出来ないと思います。他の芸術家に見られるような、抽象的な理 解に対応する星の筋が見られないからです。これをもって、ストーリーマンガの流行やアニメーションの作成は芸術的表現の目的ではなく、笑顔とエンターテイ メントを追求した、技巧的かつビジネス的な活動だと考える事が出来るのではないでしょうか。もちろん悪い意味ではありません。客観的に見たところの氏の芸 術は、確かに表示されています。しかれども、赤本マンガと呼ばれる作品に魂を込めて子どもに笑顔を届けようとした氏の生産活動と、「お」が付くような芸術 とを混同することはちゃんちゃらおかしな事だということを、僕の分析の答えとしたいと思います。そして不届き千万な言いぐさではありますが、手塚氏の功績 は残した作品そのものではなく、後世の子どもとマンガとの繋がりを、マンガが持つ弱点の克服という形で大きく変えたことを最大の功績として捉える事が出来 ると言うのが、占星術の視点で捉えた手塚氏の評価であると占断し、これで、この拙い稿を終わろうと思います。ここまで読み終えてくださってありがとうござ います。

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