占い師になるには必須の話術~「主語と述語」の明瞭化

 占いを伝えるためには、正しく占いの結果を伝える必要があるということについて、数日前のブログで紹介しました。今回はその実践編として、もう少し具体的な話の伝え方を紹介します。電話占いのオーディションの面接官としての仕事をこなすうちに気づいた、よく当たる占い師のトークと、そう感じない占い師のトークの違いから導いた、占い師の話術の要衝をまとめました。基礎的な理論編として、以前の記事のリンクも末尾に張っておきますので合わせてご覧くださいませ。

主語と述語を明瞭化してわかりやすく伝える

 占い師になるには、占いを伝えるための話術をしっかり身につける必要があります。ここでは、コミュニケーションの一般スキルの中でも、特に重要な主語と述語について考えてみましょう。占いの結果を、占い師のイメージ通りに伝えることが、当たる占い師になるには欠かせません。

主語述語の重要性

 これは占いを伝える上で最も大切なことかもしれません。例えば生年月日の占いをするときに、占い師としては恋人の生年月日のホロスコープを読んでいるのだから当然に恋人の話をしていることが相手にも伝わると考えがちです。しかし、お客様と占い師とでは、そうした前提が必ずしも通じ合っているとは限りません。タロット占いなどの場合はなおさらです。

 もちろん、話の流れを冷静に捉えれば、誰のことを言っているのかは判るはずですが、明瞭化した方が判りやすいのは間違いありません。特に複数人の異性が登場するような込み入った話になるとなおさらです。こうした話の場合、好きになる異性の傾向が似通っていればなおさらに話は混乱します。主語と述語の関係性を明示して丁寧に説明することが、誤解を生まないわかりやすい話をするための第一歩といえましょう。

文学の基礎知識の応用! この話は何人称視点なのか

 小説を解釈する際にしばしば、その物語が何人称で語られていることなのかが話題になります。すなわち「僕」や「私」という主人公の一人称視点で語られているのか、主人公以外の三人称で語られるのか。三人称にしても、ナレーターとしての語り手目線で書かれているのか、あるいは物語全体を理解する神様的な視点で書かれているか。大きくそういった分類があります。

 占いの話を構成する際にも、誰を主人公にしてどの視点で語っている話なのかを明瞭に意識することによって、話をわかりやすくすることができます。一般的には占い師という語り手が、相談者や恋人の気持ちを読み解きながら代弁して語るという三人称の視点が一般的で、かつ最もお客様との親近感を抱かせやすいと思います。すべてを見渡す神の言葉を占い師が代弁するという話法をとることもできますが、その場合には話し方と人称を徹底しなければ意味不明な話になってしまうリスクがあります。

話の中での具体例

 実際の占いの中で起こりそうなシチュエーションについて、もう少し具体的に突っ込んで例を見ていきましょう。

「我々」や「こちら」が何を指しているのか

 占い師視点で占いを語る場合、「私」という言葉が占い師自身を指していることになりますが、時としてこれが曖昧になってしまいます。「別れた方がいいと思う」という表現があたっとして、それは「占い師」がそう思っているのか、あるいは間接話法的に「恋人」がそう思っているのかを明瞭にした方がわかりやすくなることもあるでしょう。

 彼氏がほかの女性と浮気をしているというシチュエーションがあったとして、そこで「彼は最終的に『こちら』を選ぶでしょう」という表現をしてしまうことがありますが、これは非常にわかりにくい言い方です。この「こちら」が相談者を指すなら、語り手の視点が切り替わっていますし、相手の女性を指しているとすれば占い師の立ち位置がよくわかりません。占い師とお客様の親近感が高まれば、「我々」や「こちら」という一体感のある言い方を選びたくなりますが、ある程度明瞭化した方がわかりやすいことは確かです。

「彼から連絡が来ますか?」の解釈

 この質問は、電話占いにおいては聞かない日がないくらいの重要な質問です。実はこの質問、主語述語の関係が時として曖昧になりやすい質問でもあります。この「彼から」というのがくせ者で、大きく分けると二通りの解釈ができるのです。一つは、「相談者から連絡をしなかったとしても彼から自発的に連絡があるか」という解釈です。もう一つは、「何でもいいから彼から連絡があるか」というパターンです。相談者がどちらを意味して質問しているのかを明確に理解した上で、しっかりと解釈をしなければ、適切な占いにならない場合がありますのでご注意ください。

間接話法の使い方

 恋人の彼の気持ちを伝えるときに「彼はこの関係について、あなたからの気持ちが強いかどうかで判断したいと思っているようです」といったのでは、主語述語が入り組んでいて非常にわかりにくい表現になっています。そこで間接話法を使うと、非常にわかりやすくすっきりします。具体的には、「この関係について、彼の視点で表現すると、『君から俺に対しての思いが強いなら続けていきたい』と思っているようです」となり、かなりわかりやすくなっていると思います。間接話法を使う場合には、わかりやすさを重視して、「俺」や「僕」など、典型的な男性の一人称を使うと非常にわかりやすくなります。こうした一人称や間接話法の口調を、その人の人柄に合わせて選ぶことができると、占い師としての実力の高さを示すこともできます。

 最近公開したシリーズものも是非ともご覧くださいませ。

五十六謀星もっちぃ

10代の頃から占い一筋に生きる職業占い師。老舗の占い館の史上最年少占い師などを経て、現在は占い師養成講座を主催。延べ5万人を鑑定。占い師の採用試験の実技審査員を400件以上担当。テレビや雑誌などメディア出演多数。著書に『1日2時間で月10万円 はじめよう 電話占い師』(同文舘出版)がある。

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