当たり外れと占い! 占い師になるには避けて通れない重要課題

 当たるも八卦当たらぬも八卦とはいいますが、占い師は当たり外れから逃れることができません。心の癒やしなど、当て物ではない部分に占いの役割が移行しつつあることは確かですが、しかしながら、その癒やし効果の前提は占いが当たることであるべきです。もしも全く当たっていない話を中心に癒やしが成立するなら、それは占いの権威に仮託したお世辞、あるいは妄言であるというほかありません。今回は「当たる占い」について五十六謀星もっちぃが考えたことをまとめます。

黙って座ればぴしゃりと的中は夢物語なのか

 「だまって座ればピタリとあたる」という言葉は、昭和の有名占い師、高島象山の使っていたキャッチフレーズですが、これはある意味占い師の憧れです。相談者がその相談の内容を説明する前に、何から何までお見通しに悩みを解決することが出来れば、それはそれは素晴らしい名声を獲得することが出来るでしょう。もっとも、このレベルの占い師になるには、相当の年数が必要です。この境地を目指すかどうかは別としても、占いを当てようという意識は、占いという文化を引き受ける占い師の責任として追及する必要があると思います。

当てようとしなければ当たらない

 電話占い師のオーディションにおける面接官を多数経験した中で感じたことがあります。それは、鳥肌が立つレベルでの的中力を持っている占い師と、そうでない人を明瞭に分けるポイントは、当てようとする意思を持っているかどうかの一点につきるということです。極めて当然のことですが、占いは当てようとしなければ当たらないのです。たとえ適切で鋭い答えがわかっていたとしても、それを口に出して表現しない限り、占いが当たったことにはなりません。占いを当てるためには、まずは当てることを意識して大胆に結果を伝えることが大切です。

判断は大胆であるべき

 昭和の偉大な観相家中村文聡氏は、とにかく判断は大胆であるべきといっています。以前にも紹介した『手相現象秘録』の中で、中村氏の師匠に当たる目黒玄龍子氏の言葉を紹介しているので引用します。

目黒玄龍子先生が、観相血色の秘伝として、目で見、心で納得のいった血色については、どこまでも大胆率直に判断をするべきで、疑いの心を持った時は決して判断してはならないと常々教えられたが、その秘伝は、手相における血色の場合も言えることであろう。

中村文聡『手相現象秘録』19ページ

 ここでいう血色とは、観相術の奥伝の占技です。中村氏は手相の血色鑑定における心構えとして応用していますが、これはともすれば、占いという技術全体についていえることなのではないでしょうか。「目で見、心で納得のいった」タロットやホロスコープは、どこまでも大胆に判断するべきだと考えます。その大胆な判断こそが、驚くべき占いの的中を生み出す唯一の方法なのですから。なお、中村文聡氏の著書については、別記事に記載がありますので末尾にリンクを張っておきます。

外れた場合の対処方法

 ちゃんと勉強した占いを使って、真剣で大胆な占いをしたならば、その占いはしっかり当たるというのが五十六謀星もっちぃの持論です。しかしながら、占いという技術は科学的なものではありませんし、厳密な再現可能性があるわけではありません。平たくいえば、完璧な占いをしたとしても外れることはあります。そんなときの対処について考えてみました。

そもそも占いが完全ではないことを告げた方がよい

 自分の占いの効力を示し、その価値を伝えるためには、絶対的な的中力を持った占い師であることを喧伝しなければならないような気分になることがあります。しかしながら、それはあまり適切な方法とはいえません。今時は洗剤のCMでも、汚れの一部が取り除けずに残っている映像を使います。その能力が100%ではないことを認めて、適切な免責を加えることも、これからの時代の占い師には必要な誠実さであると思います。逆に、不自然なまでに素晴らしい的中を喧伝すると、少し癖のある難解な相談を引き寄せてしまう恐れがありますので注意が必要です。

いいわけをせずに謝る

 まず、占いが外れた場合に最も大切なことは、いいわけをしないことであるように思います。占いファンのお客様の多くは、占いが外れることもあるという事実を承認した上で占いを利用しています。それまでにどんなに高名な占い師の鑑定を受けてきたとしても、全く外れのない占いを体験した人はほとんどいないでしょう。占いが外れることをお客様が納得しているのに、占い師の側がそれを受け入れずに言い訳をするのは、かえって評価を下げる原因になってしまう恐れがあります。的確に誤りを認めることができれば、さらなる信頼を獲得することができます。

占いが外れることが許せない人は占いを受けるべきではない

 これは占い師が言うべき言葉ではないのかもしれませんが、私は占いが外れることを許容できない人は占いを受けるべきではないと思っています。当たるも八卦当たらぬも八卦という言葉も、占い師が嬉々として援用するべきではないのです。しかし、それを踏まえた上で占いを活用できる人こそが、本当の意味で占いの持つ価値を人生に生かすことができるのだと思います。

まとめ

 占いは当てようと思って大胆に予測しなければ、当たりません。占いは基本的に、当たることを目指さなければ意味がないと思います。当たらない占いを元にしたアドバイスが適切なはずがないのですから。ただし、その的中が100%であることに期待するのはよくありません。占い師は全力で人生をかけて当たる占いを追求しなければなりません。しかし、お客様も占い師も、占いを過信しすぎずに、その的中を盲信しないことが大切です。

五十六謀星もっちぃ

10代の頃から占い一筋に生きる職業占い師。老舗の占い館の史上最年少占い師などを経て、現在は占い師養成講座を主催。延べ5万人を鑑定。占い師の採用試験の実技審査員を400件以上担当。テレビや雑誌などメディア出演多数。著書に『1日2時間で月10万円 はじめよう 電話占い師』(同文舘出版)がある。

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