近日上梓しました『はじめよう 電話占い師』は、占い師という仕事をビジネスとして捉えたときに、それをどのように初めてどのように学習し、どういった心構えで続けていけば、安定して占いを仕事にすることができるかを記したビジネス書です。プロの占い師になるにはどうすればよいかの本ですしビジネス書ですから、当然ながら「稼ぐ」ことは重大な目標として据えています。ところが、この「占いで稼ぐ」という表現に対しては、どういうわけか複雑な意見をお持ちの方も多くいらっしゃるように思います。今回のブログはこれをテーマに据えて徹底的に考えてみたいと思います。
占い師は稼ぐことを意識する必要があるのか
占い師を職業として捉えるからには、稼ぐことに対して否定的な意見を持つこと自体がナンセンスで、論議の対象にすらならないことは自明だと私は考えています。しかしながら、占い愛好家の中には、占いで稼ぐというフレーズに疑問を感じる人がいるのも確かです。学卒以来、ずっと占いのみで生計を立て続けてきた身としては、占いで稼ぐということについては真っ正面から切り込んだ意見を申し上げなければならないと思っています。
占い師が稼ぐことは義務ではない
これは当たり前の前提ではありますが、プロの占い師を名乗ったからといって必ずしも稼ぐことを意識する義務があるのかといえば、そんな義務はあり得ないといえます。ココナラでゆるく着実に占いをすることも、自分のブログでじっくり自分に合ったお客様を集客することも、占い師としての立派な活動の仕方だと思います。
生活に追われているわけでないなら、必ずしもそれで多くのお金を稼ぐ義務などは当然ありません。料金に見合った占いをサービスするだけの実力があるなら、十分にプロの占い師です。自分のペースと価値観に合わせて自由に目標設定をすることができるのも占い師という職業の魅力です。目標とはもちろん、金額だけではなく、占いの完成度や的中、あるいは有名になることなど、人それぞれの欲しいもの次第だと思います。無理をして、最強の霊感をうたい文句にして高額の鑑定料を得ようとすることは必須とはいえないでしょう。
サービスが提供できていればお金は自然に稼げてくる
タロットや占星術などの占いの技術が優れていて、本当に頼れるものであったならお客様はお金を払ってくれるものです。そのレベルの占いができていれば、お客様は「お金を払ってでも」占いをしてほしいではなく、「お金を払うから」最高の占いを聞かせてほしいという感情になるものです。占いでお金を稼ぐというのは、本質的には、もれなくこうあるべきことだと私は考えています。一般のお客様相手に占いをする限り、高額な鑑定料で儲けるという選択肢は現実的ではありません。
不当廉売は誰も得をしない
不当に安い金額で占いをすることも適切ではないと思います。学生さんでも払えるお金で、という考えは素晴らしい話ですが、鑑定料の払いに苦心する学生さんには、まだ占いは早いと私は考えます。
例えばとてもおいしいお弁当屋さんがあったとして、それには手間暇をかけ手作った昆布と椎茸の香りのしみこんだ甘い煮物に、丁寧に焼き上げられたメロの照り焼き、ご飯はショウガと山椒が香るじゃこご飯、それが誰でも買えるようにと、100円で売られていたらどうでしょう。私は飛びつきますが、まっとうな常識を持った社会人なら遠慮して買えないかもしれません。しっかりお金を取らなければ、本当に占いを聞きたいと思っているお客様が、遠慮して相談できないということもあり得るのです。タロット占い40分を500円で提供していれば、良識的な人は申し訳なくてリピートできません。
企業と手を組むなら稼げないのは不義理
そうはいっても、占い館や電話占いサイトのような企業と手を組んで仕事をするからには、稼ぐことは半ば義務です。対面鑑定の館における1ブースの1日あたりの経費、電話鑑定で初回のお客様を集客するための広告費。どちらもいくつかの実例を知っていますが、特に電話占いの広告費は想像よりずっと高い金額です。会社によって違いはありますが、初回10分無料のお客様と30分話したくらいでは全く回収できない数字であると考えて間違いないでしょう。
別に私は企業サイドの人間ではありませんので、正直言って集客や経費にいくらかかろうが私には関係ない話です。されど、電話占いに所属しながらも、「占いで稼ごうとするのはホンチャカ」という占い師さんは、ちょっと違うなと思います。それは、稼げないことの言い訳か、稼ぎ続けることに対する逃避でしかないと思います。もっとも、その逃避も占い師という職種の権利だともいえますが。
占いで生きていくためには稼ぎよりも愛の方が大切
私以上に占いをビジネスとして捉えていらっしゃる方からすれば、寝言のようなことに聞こえるかもしれませんが、占いのプロを貫くことは、相当なレベルで占いに対しての愛がなければ難しいと思います。
占いでボロ儲けは難しい
寝言を言う暇もないくらいに昼夜働きづめる人を除けば、占い一筋でいわゆる成功者といえるような金額を稼ぐことは不可能に近いでしょう。占いは「ちゃんと稼げる仕事」ではありましょうが、「儲かる商材」ではないと思います。一時の占いコンテンツや、電話占いの運営は少し儲かる会社もありますが、占い師としてすごすぎるくらい活躍しても、マキシマムは月収200万円くらいではないかと推定されます。お金を多く得ることが主たる目的であれば、他の業界に行った方がよいでしょう。
だからといって稼ぐことを否定してはならない
稼ぎたければ他の仕事をした方がいいというのは間違いないと思います。拙著『はじめよう 電話占い師』でも、基本的には副業からスタートさせることをおすすめしました。占いに生活を賭けて、稼ぐことに追われるというのは大変な生き方だからです。そうはいっても、電話占いで仕事をすることの時間あたりの収入の高さは否定しません。電話占いは、やり方によっては、占い師になるために必要な努力量に見合った収入を得ることができる仕事です。そのやり方を工夫することは、プロとして大いに考えるべきことであると思います。
占い師が搾取されることもある
占い師を抱える館や電話占いサイトの一部には、会社の利益のために、占い師の収入が極端に軽視されている例がしばしば見受けられます。こうした会社では、正当な収入を欲する占い師を「金目当ての悪徳占い師」であるかのように糾弾することさえあります。基本的に、占い師が稼ぐことを少しでも否定する会社は、占い師を稼がせる能力がない会社です。
占い師が稼げなければ文化が衰退する
占いの学習には、時間的にも金銭的にもコストがかかります。そうしたコストをかけたとしても、その後の仕事でコストを回収することができるなら、占いを学習したいと思う人も増えるはずです。
政治の世界において、議員の報酬をすべてゼロにして、金銭的なメリットがない状態にすればよい政治家が増えるのではないかという意見があります。これはとんでもない話で、絶対に実現させるわけにはいきません。なぜなら、そんなルールになれば、経済的に豊かな人しか政治家になれなくなるからです。
少しフィールドと前提が違いますが、占い師が稼ぎにくいことが当たり前になると、似たような問題が発生する恐れはあります。極端なことをいえば、占い師という仕事が金持ちの道楽で始める仕事になってしまう恐れがあるのです。
占いという仕事に救われる人がいる
占い師として収入を得たいと考えて、占いを勉強してプロを目指す人の中には、占い師という職業に救いを求めてやってくる人が非常に多いように思います。それは、決して楽に稼げると思って飛びついているという意味ではありません。例えばそれは、小説家が書くことしかないというのと同じように、「占うことしかない」と強く感じている人がいるわけです。「占いしかできない」ではなく、「占いしかない」です。
それぞれ事情はありますが、占い師という職業の存在に救われた占い師さんはたくさんいると思います。そしてそういう占い師さんこそ、お客様に対しての強い救いを提供することができるのだと思います。それは、占いに対する愛、そして自分の占いに対価を支払ってくれるお客様への感謝が満ちあふれているからです。
占いで生きていく決断
占い師になには、霊感よりもタロットの技術よりも、最も大切なものがあります。それは占いでやっていくと覚悟をすることです。その覚悟には、投資した時間とお金を回収して余り有る売り上げを上げようとする覚悟も含まれます。
占い師に向いている人
占い師に向いている人はどのような人かといえば、いろいろな理屈は立ちますが、最終的に誰が売れるかは全くわかりません。頑張り次第であると申し上げるのが、稚拙ながら現状最も誠実な回答であると思います。
強いていえば、占いで稼ぐことによって、自分自身が救われる状態にあると感じるなら、それは占い師としての才能であると私は考えます。それだけ占いに期待をすることができて、占いを愛して楽しんでいるなら、その気持ちは必ずやお客様に伝わるでしょう。
占いで稼ぐなら現状では電話占いが強力
占いで売り上げを上げたいと考えるなら、現状では電話占いが最強であると考えられます。電話占いは大変だと考える人もたくさんいます。大変なお客様が多いというイメージもあるかもしれません。しかしながら、電話占いにおいても、占い師のキャラクター設定や距離感の工夫によっては、無駄に消耗せずに健康的に仕事を続けて、安定的な売り上げを維持することも十分に可能です。
こんなことを書くと、コンサルの売り込みかと思われるかもしれませんが、そんなつもりではないのでご安心ください。電話占いで安定的に成果を上げるために必要なマインドやキャラクター設定を伝えることは非常に難しいことです。何せそれぞれの占い仕事に個性がありますので、少なくとも個別コンサルの形で、かなり深く真剣に関わらなければ無理です。ですから、少なくとも拙著が市場にある限りは、読者様の中で特に興味を持ってくれて、そして僭越ながら占い師としての可能性がある限定的な方以外にはコンサルはご案内していないのです。
ただ、『はじめよう 電話占い師』には、占い師として生き残っていくための方法として有力と思われることを、みっちりと記述しました。書店にならぶ普通の書籍としては、かなり踏み込んだ内容に触れていると思います。マニアックな内容ですので、飛ぶように売れる本ではありませんが、おかげさまをもちまして、夕刊フジ様の取材を受けるなど、着実に認知を広げております。現在の仕事の状況に少しでも不満や不安を過かていらっしゃる方は、是非ともチェックしてみてください。恐れ多い言い方ですが、私は読者様の人生を変える本にするつもりでこの本を執筆しました。高額な情報商材ではありません笑。書店やamazonに並んでいる、千円台の普通の書籍です。