今日は久しぶりに本の紹介をしたいと思います。これは、ずいぶん前にベテラン占い師の先生に推薦していただいて読んだ本ですので、少し出版が古いのですが、とても面白くて参考になります。シンプルにいえば、わかりやすいマンガで易経を学ぶという趣旨の本です。今になって読み返してみると、マンガながらベテラン占い師が推薦する理由がわかる気がしましたので、私が先輩からいただいた情報をお裾分けする意味でブログにしました。
本の要旨と構成
この本は、ほぼ全編がマンガで構成されています。ただ、今風のストーリー性のあるマンガというよりは、昔の子供向けの事典についているマンガのような感じで、しっかり堅くみっちり詰まっています。作中の主人公に当たる語り手はひげもじゃの仙人です。
易の基礎から成立まで
はしがきから第二章までは、易に関する基礎知識で構成されています。「河図」や「八表同昏」など、文字だけの入門書でも省略されてしまうかもしれないようなマニアックな単語にも触れられています。卦の解説だけにとどまらない、腰を据えた本であることがわかります。
六十四卦の説明
六十四卦それぞれについて、見開きで説明されています。これもマンガですが情報は豊富です。卦の成立する過程や陰陽の織りなすかたちにもしっかり触れられています。卦が本質的に示している状況や内容が絵を通してしっかり語られていますので、記憶に定着しやすいです。また、卦辞も仙人の台詞としてしっかり書かれています。
医学との関わりについて
この本の最後の章では、中国の伝統的な医学の本である、『黄帝内経』との関連から始まって医学と易の哲学的な関連性について論じられています。これまたマニアックに、漫画という媒体でよくもここまでというほど緻密に書かれています。
これはかなり専門的な内容でもありますので、本格的なところは正直この本だけで理解できないかもしれませんが、より深い学習につながる橋渡しの役目を果たしてくれているのは間違いありません。ちなみに、同シリーズの『黄帝内経』もあるようです。
おすすめポイント
この本は、これから易を学ぼうと思う人が、「どんなもんかね」というテンションで始めるには十分すぎるほどにふさわしい本であると思います。また、占術としての解釈の方に重点が置かれているほかの本を読んで、書物としての『易経』をもっと詳しく学びたいけれど、漢字が多い四角い本はいやだという人には、この本が最適です。
読みやすくて説明がしっくりくる
とにもかくにも読みやすく、しっくりと心に残る説明がなされています。占術としての易を学びたい場合には、この本では六十四卦と現実的事象との関連性の説明が弱いかもしれません。しかし、それ以外はすべての入門者にとってわかりやすく書かれています。
何を学ぶべきかがわかる入門書
新しい学問を始める際に、どのようなことを勉強するべきかという概略をつかむことはとても大切です。知りたいことはネットで調べれば手早く確実に得ることができますが、何を知ればよいのかがわからないというのが最大の問題なのです。
この本には、易の世界において必要なタームや、関連する古典など、様々な情報がちりばめられています。この本を基礎として、わからなかった部分やさらに詳しく学びたい部分をほかで学ぶだけでも、相当にくわしく易の世界の全体像をつかむことができるでしょう。