『体格と性格』の精神科医クレッチマーが説いた体つきと性格分類に関する占い師に役立つ知識

この記事は約4分で読めます。

 占いにおいては、様々な要素を元にして人の性格を語ることがあります。相術においては、手や顔に表れる形質的な特徴を元に人の性格を分類します。ある意味では科学の世界における相術の研究とでも言うべき研究が、19世紀のドイツで活躍した精神科医のクレッチマーによってなされていました。今回はそれについて占い師に役立つ情報という目線でまとめてみたいと思います。

クレッチマーと占い

エルンスト・クレッチマー

 クレッチマーは、1888年にドイツで生まれた20世紀の精神科医です。人間の気質を研究した主著『体格と性格』でよく知られています。

エルンスト・クレッチマー
Wikipediaより画像引用

ドイツの精神医学

  今日では、体型と性格の関連性を語ることは、科学の世界では違和感を持って迎えられることですが、 当時のドイツの精神医学の世界では、骨相学などの外見と性格のつながりを分析する学問は普通に行われていたようです。

『体格と性格』の論旨

 1921年に出版されたこの本は、シンプルにいえば体つきと人間の性格には関連性があるということを説いています。多くの精神病者と対面した経験からこの理論を導き出しました。クレッチマーはこの研究に生涯を捧げ、晩年に至るまでデータを増補した改訂版を出版しています。

体格と分類

 クレッチマーは人間の体格を大きく3タイプに分類しました。これらの体型は、人並み外れてその体型である人だけが該当する気質を持つという理論ではなく、すべての人をこのいずれかの体型分類することがクレッチマーの論旨です。例えば、「肥満型」はとくに太っている人を分類するのではなく、この三タイプでいえば、どちらかというと「肥満型」の人すべてに当てはまるというわけです。

「肥満型」〈pyknic type〉

 肥満型の人の基本的な性質は、社交的で親切で温かみのある人物像であるとクレッチマーは説いています。精神病にかかる際の特徴としては、躁鬱気質であり、躁状態の時にはユーモラスであるのに対して鬱状態にあるときにはおとなしい人柄になるとしています。また、もしも肥満型の人が犯罪を起こす場合には詐欺などの知能犯が多いそうです。

「細身型」〈eptosomic type〉

 細身型の人は、非社交的で、周囲に合わせて空気を読むのが苦手であるといいます。自分が興味を持ったものにはとことん興味を示しますが、そうでないものに対しては冷たく、人の好き嫌いも激しい傾向があります。敏感さと鈍感さの釣り合いがとれなくなる傾向があり、精神病にかかる場合の特徴としては、分裂症にかかりやすい気質とされています。

「筋骨型」〈athletic type〉

 「闘士型」とも呼ばれるこの体型は、粘り強く几帳面な性格の持ち主です。我慢強い反面、ストレスをため込みやすく、いざ限界を超えて爆発した際には大変な規模の大爆発になることもあります。もしも犯罪に手を染めてしまうことがあるとするなら、それは暴力であると考えられます。


体格と性格―体質の問題および気質の学説によせる研究 (1960年)

『天才の心理学』の論旨

 クレッチマーの著作で、もう一つ世に知られているのが『天才の心理学』です。これは、体格と性格の関連性を指摘した主著の延長戦にある理論で、特別な天才が生まれる環境的な条件などを考察しています。

天才は精神病者に多い

 前提として、天才のほとんどは精神病者であるとクレッチマーはいいます。天才と呼ばれるほどの業績を残した人は、学生時代には、教師や周りの大人から、将来犯罪者にでもなるのではないかと心配されるほどに変わった人であることが多いそうです。しばしば「馬鹿と天才は紙一重」と表現されることがありますが、クレッチマーの研究は、この定説の科学的な裏付けをとろうとする試みであるともいえましょう。

 『天才の心理学』では、「申し分のない精神病者」として、ルソー・ニーチェ・モーパッサン・ドストエフスキー・ゴッホ・シューマンなどといった天才をあげています。これらの天才を「人類中の稀有にして極端な変種」と呼称した言葉はクレッチマーの最も有名な言葉かもしれません。

天才の家系

 天才は、結婚願望が少ないか性的に倒錯しているかなどといった事情があり子孫を残さない人が多いということもあげています。そしてもしも子孫を残したとしても、天才の子供には能力の低い人が多いそうです。その理由は、天才はもともと能力の高い家系から誕生するものの、その家系の能力の高い遺伝子が薄まり終わりかけるときに生まれるからだとクレッチマーは考えました。


天才の心理学 (岩波文庫 青 658-1)

まとめにかえて、クレッチマー理論のその後と現在

 体格と性格を結びつけることは、現代の科学では一般的に行われてはいません。しかし、占いの相術に関連するテーマとして、あるいは天才に関する先天的な要素の研究など、占いの目線から見ればクレッチマーの研究はまだまだ生き続ける道があるのではないかと思われます。占いに関する深い知識を持った人が、クレッチマーを深く学んで面白い占いを作ってくれるといいなと思います。

 ちなみにクレッチマーの研究は、後世に引き継がれ、様々な発展的な研究があります。シュナイダーの精神病類型などが有名ですので、今度はそんなこともまとめてみたいと思います。

タイトルとURLをコピーしました