占いの用語ではありませんが、占い界隈で仕事をしているとしばしばヒプノセラピーという言葉を耳にします。これはよく知られた業界用語ではありますが、改めてその意味や内容、やり方などを占い師の目線で考察してみたいと思います。効果があるなら自分でもやってみたいと考える占い師さんも多くいらっしゃると思います。純粋な占術以外の技術を持つことも、長く生き残る占い師になるには重要なことであるように思います。
ヒプノセラピーは心の仕組みを使ったセラピー
ヒプノセラピーのヒプノとは、「眠り」という意味を持つギリシャ語のHypnosからきています。とはいえ、ヒプノセラピーは、眠っている人に対して行うセラピーという意味ではありません。
催眠状態の人の心に直接働きかけるセラピー
ヒプノセラピーを一言で説明するなら、催眠術のような技法を使い、クライアントを強いリラックス状態にした上で、その本心に直接働きかけて問題解決の糸口をつかむセラピーであるといえます。催眠状態の人は、普段は理性や様々な感情が邪魔をして吐き出すことができない本音や言いたいことを表現することができます。時には、意識下では忘れ去られてしまっているようなことでさえも、催眠状態では思い出すことができる場合もあるのです。このような心の仕組みを活用したセラピーがヒプノセラピーです。
催眠状態で暗示をかける
ヒプノセラピーは、催眠状態の人の本心を引き出すだけでは終わりません。催眠状態に置かれている人は、いわば心が裸になっている状態でもあります。その状況で、クライアントの心に肯定的な暗示をかけると、催眠状態から解放された後も、その肯定的な気持ちを引き継いで、楽しく幸せな人生を過ごすことができるようになります。漫画に出てくるような催眠術では、「手をたたくとあなたはマネキンになります!」というような、暗示をかけて、人の動きを止めることがあります。ヒプノセラピーとは、ものすごくシンプルに言えば、催眠術を使ってその人の問題点を克服して幸せな人になるような暗示をかける技術であるといえましょう。
ヒプノセラピーあれこれ
2019年現在、ヒプノセラピーは決して流行の最先端のセラピーというポジションではありません。ある程度成熟して、浸透した技術であるといえましょう。しかし同時に、それほど歴史の古い技術であるとも言えません。
暗示に効果はあるのか
ヒプノセラピーを考えるうえで、催眠状態の暗示に効果はあるのかという疑問が一番に出てくることでしょう。私は若い日に、苫米地英人先生の率いる催眠術の勉強会に参加させていただいたことがあります。その時に、高名な催眠術師の技術を間近で拝見しました。その経験から言って、暗示によって心を変えることは、十分に可能であると思います。
最近、北海道出身の人が、ゴキブリを怖がらないという話しが話題になりました。実は、人々がゴキブリを恐れているのは、幼少期から殺虫剤のCMなどを通じて、ゴキブリが恐ろしい生き物であるという暗示を受けているためであるというのです。北海道には生息していないため、そういった暗示がなく、道民はカブトムシ等と同列にとらえて特に恐れないといいます。ちなみに私は札幌生まれですが、クワガタもカブトムシもゴキブリも、まったく同じレベルで嫌いです。参考: http://blog.esuteru.com/archives/9406988.html
ヒプノセラピーは自分でもできる!
催眠術の技術には、自己催眠というものがあります。それは文字通り、自分自身に催眠をかけてしまうことです。この方法を使うことで、自分でヒプノセラピーを行うことが可能だそうです。その効果は自分自身にかける催眠の質によりますので、それは全く個人のセンスとしか言いようがないでしょう。もちろん、ヒプノセラピーそのものの効果は個人差があります。信頼できるセラピストが見つからない場合は、自己催眠からのセルフヒプノセラピーを試してみるのもよいでしょう。
資格はあるのか
現在の日本には、ヒプノセラピーに関連する国家資格などはありません。ヒプノセラピーの術者は名乗ったものがちと言える状態にあります。ただし、上記で見てきた通り、裸の心に暗示をかけるような技術であるヒプノセラピーは、思い付きでできるものではありませんし、悪用しない心構えが必要です。日本でもいくつかの協会が知られていて、それぞれ独自にセラピストの民間資格を発行しているようです。
まとめ
セラピーの世界と占いの世界はある意味隣りあわせな部分があります。私の知り合いの占い師でも、各種セラピーを取り入れている人はたくさんいます。こうした技術に対して興味を持つことで、占い師としての幅を広げることができれば、本業にも良い影響が出るかもしれません。