占い師としてお客様の質問に答えていると、時としてどうしようもなくわからない質問を受けることがあります。それは、お客様が何を言っておられるのかわからないという意味ではありません。そんなこともありますが、それは別のテーマです。今回の話は、占いの答えがどうしても定まらない質問についてです。なぜそういうことが起こるのか、これは一体どういうことなのかを考えてみたいと思います。
どうしてもわからない質問の正体
タロットを引いても、筮竹を広げても、占星術を見ても何をしても答えが出ない質問が時々あります。こういった質問に対して、しっくりこないけれど、とりあえず占いの解釈を教科書通り伝えるというのは、意外と危険かもしれません。答えがわからないというのは、占術が占い師に伝えるサインである可能性が非常に高いのです。
そもそも答えがない質問
タロット占いなどの卜術は、占的を絞ってカードを引けば、たとえどんな質問に対してでも、何らかの回答となるべきカードを得ることができます。これが卜術のよいところでもあり、同時に困ったことでもあります。実際には、すべての質問に答えがあるとは限らないからです。
どちらも正解ではない二択でAかBかを占うとか、イエスノーでは割り切れない問題を無理にイエスかノーで占うなどは、答えのない質問の代表格です。質問にそもそも答えがない場合に、全く解釈ができない無い答えが出たり、結果を出そうにも頭に答えが浮かんでこないという形で、占術が占い師に、正解がないということを教えてくれることがあります。
お客様の勘違いから生まれている質問
これも答えのない質問の一つの形ですが、質問自体がお客様の勘違いからうまれている場合もあります。例えば「彼の奥さんが彼のことをどう考えているか」という質問があったとして、彼が独身だった場合には、それもそもそも答えのない質問ということになります。お客様の側に悪意がなくても、このような答えのない質問が投げかけられてしまうことはしばしばあります。
答えるべきではない質問
占いのタブーや、その他の事情から、その質問には答えるべきではないという時にも答えが全くわからないという状況に陥ることがあります。例えば、とある人のビジネス運を占ってその答えが何も得られなかったとしましょう。その理由はもしかしたら、その人がこれからやろうとしている仕事が故意にせよ過失にせよ、善良ならざることだからなのかもしれません。
死期の予測や犯罪に関わることなど、占い師が倫理やコンプライアンスの面から占うべきではない問題はたくさんあります。こうしたタブーが陰に隠れているときに、占術が答えを出さないという形で占い師に危機を伝えてくれることもあるものです。
答えがわからない質問への対処方法
このように、答えのわからない問題に直面したときには、なんとかして答えを絞り出そうとしないことが肝心です。占いが持っている本当のメッセージに耳を傾けて、最適なアドバイスができるように冷静な対処をする必要があります。本当の意味で占いを信頼する占い師になるには、答えが解らないという情報にも耳を傾けるべきです。
わからないということを前提として伝える
さすがに何もわからないの一点張りでは、話が進みにくく、お客様も状況が飲み込めない場合もあるでしょう。それでは、お客様の不安をあおるばかりですし、占い師としての技量を問われることにもなってしまいます。とにかくまずは、何らかの事情はっきりとした占いの答えが得られない状況にあるということを伝えましょう。その段階でお客様の側から、何らかのヒントが得られるかもしれません。
その理由を一緒に考える
答えとして、わからないという回答を出すことも、誠実な占いのあり方として非常に有力であると私は考えます。しかし、その場合には、どうしてわからないのかということについて、お客様と一緒に考えることも大切です。占いに答えが示されない理由として考えられるものを一つずつ占い、状況をひもといていけば、かえって質問されたこと以上の答えを出すことができることもあるかもしれません。
また、こうした鑑定の後には、関連する要素をしっかりと本で復習しなければなりません。場合によっては、カードや星の解釈が盲点に入っていて、正しく読めていない場合もあります。このようにして導かれて学んだ占術の知識は、近い将来の重要な仕事や、占い師自身のことを占う場合に役立つ可能性も高いのです。