占いにおける言葉選び

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言葉選びは占いの永遠のテーマ

占いは伝え方がすべて

 占いの答えはすべて言葉で伝えます。画家が頭の中に描いているイメージを絵にして伝えるように、パティシエがチョコレートに魂を込めるように、占い師は自分の言葉選びによって、その占いの目指すべきところを形にしなければなりません。

占いは翻訳作業

 占いをすることは翻訳をすることに似ていると思います。例えばタロット占いをするにして、「落雷の塔」というカードが出たとしましょう。その段階では、そこにあるのは「落雷の塔」が出たという事実だけです。これを占いとして成立させるには、「落雷の塔」というカードの持っている、多義的で抽象的ななイメージを解釈して伝えなければなりません。

タロット占い「落雷の塔」の札

 解釈して伝えるというのはすなわち、占い師が頭の中でそのカードの持っている意味を理解して、自然言語でわかりやすく整理し直すことです。これは外国語を翻訳する作業にとても似ています。占いは神秘世界の言葉を翻訳する作業といえるかもしれません。

伝えるための言葉選び

ロジカルに伝える

 もっともわかりやすく明瞭で、そして伝達に間違いが起こりにくいのはロジカルな言葉で占いの答えを伝えることです。伝統的な占いが示す答えを適切に、逐語訳的に翻訳して間違いがないような言葉を選ぶことは、占いの基本的な方式であるように思います。

 例として仕事運について「落雷の塔」を引いた場合、「衝撃を伴う急激な変化が起こり、状況が悪くなるかも知れません。ただし、その状況変化はこれまでの行動のうちで、足場をしっかり固めてこなかった部分に起こるはずです。あなたの場合は仕事に対してのミスがないように努力を重ねていらっしゃるので、細かな失敗で悪くなるわけではありません。問題は職場の人間関係において必要な味方作りをしてこなかったことにあり・・・」というような雰囲気でしょうか。

 AかつBかつCや、AではあるがBではないなど、小々回りくどくとも、占いの答えが持つイメージを出来るだけ忠実に詳細に叙述することで、占いの持っている回答を適切に示すことが出来ます。占いの説得力を高めるためには、論理的な説明と論拠を示すことが大切です。

リリカルに伝える

 占いを伝える上で、一番わかりやすく人の心に響くのは、内容を リリカルな言葉、つまり叙情詩的な言葉に翻訳して伝えることかもしれません。特に人の感情を紡ぐときに、占い師は詩人として彼の恋心を代弁することが出来るでしょう。

  例として仕事運について「落雷の塔」を引いた場合、「 人の足下をすくうことばかり考えている人が職場にたくさんいるようで、あなたがミスをするのを待っているような嫌な感じがあります。しかし、あなたは慎重で丁寧なので、なかなかミスをしません。そこで性悪な同僚が、積極的に意地悪を仕掛けてくる可能性が高くなっています。これを回避するための人間関係・・・」というような感じになります。

 この方式は、人の心に響きやすいため、占い師と相談者の距離が近くなりやすいというメリットがあります。熱い言葉を紡ぐことで、愛情を持って接してくれる優しい占い師であるという印象を与えることも出来ます。占い師としてのキャラクター演出をする際に、文芸的な表現力を磨いておくことはとても大切です。

抽象度の高いままつたえる

 占いの答えを、ほとんど翻訳せずに伝えて、相談者がそれを自分で解釈するという方法をとることもまれにあります。 相談者が自発的に問題を発見した方が響きやすいような場合に効果的です。 また、占いとしての正しい解釈がどうしてもわからなかった場合に、相談者に意見を求めるためにも役立ちます。

 例によって仕事運について「落雷の塔」を引いた場合、 「このカードは、突然の崩壊や衝撃的な出来事などの悪いことを示すカードです。特に職場の人間関係において、不穏な気配があるようですが、何か心当たりはありませんか」というような形になるでしょう。

 この方式では、相談者に多くの言葉を話してもらうことが出来ます。それ故に、明らかに相手が話したいことを持っている場合には役立つ導入方法かもしれません。ただし、占いが的中しているという実感が出にくいので、多用は避けるべきであると思います。

傷つけないための言葉選び

強すぎない言い方を選ぶ

 占いのお客様は繊細な方が多いです。その人たちの心には、占いの持つ力が強く響きすぎることがありますので、十分に注意する必要があります。言葉の勢いで出てしまった破壊力のある言葉が、長くお客様を傷つけてしまうことがあります。 特に悪い答えを伝えるときには、一通り慎重になることが必要です。

 もちろん、鑑定の結果を曲げてよい言葉をかけるべきということではありません。悪い答えを伝えなければならないときは必ずあります。そんなときには、必要以上に悪く伝わらないように神経を張り巡らし、特に多くの言葉を費やして伝えることを心がけたいところです。

ポリティカル・コレクトネス に気をつける

 ポリティカルコレクトネスという概念が各分野で注目されて久しいところですが、占い師もこれを十分に注意する必要があります。語義としては、以下の引用の通りです。

ポリティカル‐コレクトネス(political correctness)

 人種・宗教・性別などの違いによる偏見・差別を含まない、中立的な表現や用語を用いること。1980年代ごろから米国で、偏見・差別のない表現は政治的に妥当であるという考えのもとに使われるようになった。言葉の問題にとどまらず、社会から偏見・差別をなくすことを意味する場合もある

デジタル大辞泉

 恋愛や結婚についての立ち入った話をすることが多い占いにおいては、特に性差別に関するステレオタイプに十分に注意した発言をすることが求められます。相談者が結婚後も当然に仕事を続けるつもりの女性である場合などに、女性が家庭で子育てに専念するのが当たり前であるかのような先入観を持って占いの答えをぶつける占いは、適切とはいえません。

 占い師が信じる文化的背景は、意図せずして偏見を含んでいる場合が非常に多いものです。それを前提にせず、なるべく現代の自由主義的な風潮を前提とした上で占いの答えを純粋に読み取ることが、差別のない占いにつながり、ひいては信頼される占いにつながると信じています。

選ばれ続けるための言葉選び

なるべくポジティブな言葉でラッピングする

 占い師の伝える言葉は、ネガティブなものから先にお客様の心に浸透します。不安や心配事があって占いを依頼するわけですから、ネガティブな言葉に敏感になるのは当然のことといえるでしょう。

 占いの答えを伝える場合には、必ずポジティブな言葉を先に伝えるように心がけましょう。占いの第一声がネガティブなものであった場合、しかもそれが相談者にとって一番の不安点だった場合、残りの言葉はいくら明るいものであったとしても耳に入りません。

 冒頭にポジティブな言葉を伝えて、信頼関係の土台を作った上で、占いに出ている状況を説明して、それを解決するための方法というポジティブなワードで最後を締めくくることが理想的な占いの枠組みでありましょう。

愛と応援を伝える

 至極シンプルなことではありますが、占い師が言葉に出して応援していることを伝えるのは勇気をもらえるものです。自分が応援されていること、そして占い師が愛情を持って接してくれていることが伝われば、占いに対しての信頼も向上します。頼ってもよいのだとお客様が思うことで、お客様からの質問の幅も広くなり、話が深まりより満足度の高い鑑定を実現することが出来るようになるでしょう。

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